矢野経済研究所は2022年2月28日、国内における経費精算システム製品の市場規模の推移と予測を発表した。2020年度の市場規模を、事業者売上高ベースで前年度比130.2%の154億4500万円と推計した。2021年度は前年度比142.0%の219億3000万円、2022年度は同141.9%の311億2500万円を予測する。テレワークや改正電子帳簿保存法が追い風になるとしている。
矢野経済研究所は、国内における経費精算システム製品の市場規模の推移と予測を発表した(図1)。2020年度の市場規模を、事業者売上高ベースで前年度比130.2%の154億4500万円と推計した。2021年度は前年度比142.0%の219億3000万円、2022年度は同141.9%の311億2500万円を予測する。
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2020年度の市場規模は、前年度比130.2%の154億4500万円である。新型コロナウイルス感染拡大や、これにともなう社会経済活動の変化によって、市場にはプラス・マイナス双方の影響があったが、プラス要因の方が影響が大きく、結果として好調に推移したとしている。
マイナス要因には、コロナ禍によって出張や接待などが減少したことがある。経費精算の業務量が縮小したことで、経費精算システム製品に対するニーズも停滞した。一方、プラス要因には、テレワーク対応で製品の新規導入が活発化したことや、ペーパーレス化の必要性から新規導入が進んだこと、がある。
注目トピックとして、2022年1月に施行された改正電子帳簿保存法が市場成長の追い風になった。改正点として、原本確認と検査が不要になること、タイムスタンプの付与期間が最長約2カ月以内に延長され自署が不要になること、などがある。電子帳簿の保存やスキャナ機能を利用した保存のハードルが大きく下がる。
改正によって、これまで紙ベースで経費精算業務を運用してきたユーザーが、経費精算システムを利用するといった動きが出てくる。複合機を活用した紙書類の電子化ニーズも高まることから、経費精算システム製品と複合機の連携も堅調に進展するとしている。
2021年度の市場は、前年度比142.0%の219億3000万円を予測している。テレワーク対応やペーパーレス化の需要によるIT投資の加速に加えて、改正電子帳簿保存法の施行により、好調に推移する。この状況は2022年度も継続する見通しであり、2022年度の市場規模は前年度比141.9%の311億2500万円になると予測している。