[市場動向]

デジタルの力でおもてなし─九州観光機構、JTB、セールスフォースが「九州観光DX」で連携協定

2022年6月23日(木)神 幸葉(IT Leaders編集部)

一般社団法人九州観光機構、JTB、セールスフォース・ジャパンは2022年6月20日、九州における観光DXを推進する包括連携協定を締結した。同協定は、地域事業者のデジタルビジネス支援や九州ファンの獲得、リピーターになってもらうための観光客一人ひとりに寄り添える仕組みづくりなど、デジタル技術を駆使した“おもてなし”に取り組む。

「九州観光DX」構想に至る経緯

 一般社団法人九州観光機構(注1)は、九州地方知事会と主要経済団体で構成する九州地域戦略会議で策定された「九州観光戦略」の実行組織である。2005年4月の設立以来、国内や東アジア、豪州、欧米を中心に九州ブランドの認知度向上や九州への誘客促進を行ってきた。近年は広域連携DMO(観光地域づくり法人、注2)として、地域と連携した「魅力ある観光地づくり」の取り組みを強化し、リピーターを中心とした交流人口の増加にも注力している。

注1:九州観光機構は2022年6月15日、九州観光推進機構から改称している。
注2:地方ブロックレベルの区域を一体とした観光地域として、マーケティングやマネジメント等を行うことにより観光地域づくりを行う組織(国土交通省官公庁の登録区分に基づく)。DMOはDestination Management Organization(デスティネーション・マネージメント・オーガニゼーション)の略。

 そうした活動の中、同機構は、コロナ禍の多大な影響を受けた九州観光事業の回復に向けて協働するJTB、JTBとデジタルビジネス支援で連携するセールスフォース・ジャパンと共同で「観光DX推進ミーティング」を実施。2021年6月から12月にかけて6回のミーティングを通じて、組織課題や市場分析、プロモーション、会員サービスなど、観光産業のデジタル化にあたっての施策を検討してきた。

 このミーティングが土台となって、九州を訪れる観光客の利便性向上や観光関連事業者のマーケティング支援など、「九州観光DX」と九州観光の活性化/スマート化の方針が定まり、今回の包括連携協定に至ったという。

 九州観光機構の会長を務める唐池恒氏(写真1)は、「当機構の発足以来、プロモーションに関してはどこにも引けをとらない活動をしてきた自負はあったが、魅力的な観光地づくりへの取り組みは十分ではなかった」とこれまでの活動を振り返った。そのうえで、「今は観光資源を磨く、あるいは作る方向にシフトし、リピーターを増やすための施策を展開している。観光DXの取り組みは、今後欠かせない基盤となっていく」と連携協定への期待を表現した。

写真1:九州観光機構 会長 唐池恒氏

デジタル活用で「魅力ある観光地域づくり」をどう実現していくか

 連携協定による九州観光DXの具体的な取り組み内容は次のとおりである。

(1)九州の課題の抽出と効果的なマーケティング・情報を活かしたイベントの創出
(2)九州観光機構の実施事業のデータ蓄積と活用戦略の策定
(3)九州観光プラットフォーム「地域共創基盤」(注3)の導入
(4)観光DX推進に関する実証事業の合同実施
(5)DXアドバイザーの設置
(6)九州観光DX戦略立案
(7)デジタル活用人材育成と教育システムの構築

注3:JTBとセールスフォースの連携でプラットフォームを構築し、地域共創基盤とする。地域計画や観光戦略に基づき、「Salesforce Customer 360」や「Salesforce Marketing Cloud」などを組み合わせる。詳細はJTBのWebサイトで確認できる。

 図1は、連携協定で取り組む九州観光DXのイメージである。デジタル活用による観光客の満足度向上、観光関連事業者へのデータ活用支援などを行う。九州や各地域の観光素材の人気ランキングなど、地域の魅力を高め、リピーターを中心とした交流人口を増やすための施策が計画されている。こうして九州を訪れた観光客にはデジタルマーケティングを駆使したおもてなしを、自治体・事業者には、「九州観光プラットフォーム」(後述)に集積されたビッグデータへの分析から有用なアドバイスを提示する。

図1:九州観光DXのイメージ(出典:九州観光機構、JTB、セールスフォース・ジャパン)
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●Next:九州観光プラットフォームにさまざまなデータを集約し、分析

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