[市場動向]

「パートナーと一体になって届けるSaaSで顧客のDXを支える」─日本オラクル

2022年8月9日(火)神 幸葉(IT Leaders編集部)

日本オラクルは2022年8月8日、2023年会計年度(2022年6月~2023年5月)のクラウド・アプリケーション事業戦略を発表した。同社 常務執行役員 クラウド・アプリケーション事業統括の善浪広行氏が説明を行い、2022年度に掲げた重点施策をさらに深化させる中で、特に「パートナーエコシステムの強化」「顧客およびパートナー企業を支える体制強化」への注力と投資を進めていくとした。

導入事例を紹介し、Oracle SaaSの事業成長をアピール

 日本オラクルは、2022年7月の2023年度事業戦略発表に続き、クラウド・アプリケーション事業の戦略発表を行った(関連記事日本企業のDXを阻む諸課題、「ITコスト構造の変革」は待ったなし─日本オラクル)。

 説明にあたったのは、同社 常務執行役員 クラウド・アプリケーション事業統括の善浪広行氏(写真1)。同氏は冒頭、2022年度のOracle Cloud Applications の採用実績を振り返り、同社のSaaSが2ケタ成長を継続し、事業が好調に推移していることをアピールした(図1)。

 6月~8月は、国内事例の発表が続いた。三井住友海上保険とあいおいニッセイ同和損保、エフピコ、慈公会公平病院の事例、また同日発表分として、サンフロンティア不動産の事例を紹介した(関連記事サンフロンティア不動産、財務会計と管理会計を統合、Oracle Cloud ERP/EPMを採用)。

写真1:日本オラクル 常務執行役員 クラウド・アプリケーション事業統括の善浪広行氏
図1:2022年度にOracle Cloud Applicationsを採用した主な企業(出典:日本オラクル)
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SaaSで「顧客のDXと"SX"を支える」

 説明会で日本オラクルは、2023年度の同社クラウド・アプリケーション事業の重点施策として以下の4つを挙げた。

●真のデジタルトランスフォーメーション(DX)実現を支援
●顧客との多角的なエンゲージメントの深化
●パートナーエコシステムの強化
●顧客およびパートナーを支える体制の強化

 掲げられた項目は前年度と大きく変化はない。善浪氏は、「前年度の重点施策をさらに深化させていく」として、それぞれについて具体的な施策を説明した。

 まず、「真のDX実現支援」については、引き続き、各SaaSに、変革に向けたビジネスプロセスモデルや導入方法論を合わせて顧客に提供していく。その際、導入・構築を支援するパートナー企業へのノウハウの共有も合わせて進めるとしている。善浪氏は、これらの取り組みを通じて「顧客のDXとサステナビリティトランスフォーメーション(SX)の実現を目指す」と語った(図2)。

図2:DX/SXの実現を支援する(出典:日本オラクル)
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 善浪氏は続けて、米オラクルのアプリケーション開発の総責任者であるスティーブ・ミランダ(Steve Miranda)氏の言葉「Designed for Change.Built for You.」を引いて、SXを次のように補足した。「SaaSやクラウドのベンダーとしては継続的に利用してもらえないと意味がない。顧客が必要なものをエンドツーエンドでカバーすべく、組み合わせ可能な形でプロジェクトを進められる環境を整備していく」。なお、Oracle Cloud Applicationsの稼働に最適なITインフラとして、当然ながらOracle Cloud Infrastructure(OCI)を推奨している。

 2つ目の「顧客と多角的なエンゲージメントの深化」については、ユーザー会の拡大、勉強会のクオリティ向上などに取り組むという(図3)。同社は2022年度の施策として、ユーザー会の中に新しいSIG(分科会)としてERP/EPM Cloud SIG、CX Cloud SIGなどを立ち上げている。2023年度は日本の市場ニーズに根ざして、本社の製品開発チームとの連携を強化して進めるという。

 取り組みの例として、日本企業の要件に基づいた新機能を実装するために、本社開発部門に日本と本社のブリッジを担うポジションを新設。そこにオラクル製品のコンサルティング経験を持つ日本人担当者を配置してディスカッションを重ねていることを紹介した。

図3:顧客との多角的なエンゲージメントの深化(出典:日本オラクル)
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●Next:パートナー・社内体制の強化、それらの具体策は?

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