[事例ニュース]

メルセデス、NVIDIAと共同で「デジタルファースト工場」を構築、デジタルツインで世界中の工場を同期

3D開発プラットフォーム「NVIDIA Omniverse」を採用

2023年1月5日(木)神 幸葉(IT Leaders編集部)

独メルセデス・ベンツ(Mercedes Benz)は、製造および組立施設の設計・計画などの生産プロセスのデジタル化を進めている。米NVIDIA(エヌビディア)のオープン3D開発プラットフォーム「NVIDIA Omniverse」を中核に、工場のデジタルツインを可能にするシステムを構築し、自動運転機能のテストなどを行う。NVIDIAが2023年1月4日(米国現地時間)、米ラスベガスで開催中の「CES 2023」(会期:2023年1月5日~8日)でメルセデスと同社の取り組みを発表した。

「デジタルファースト工場」プロセスに基づく新生産プラットフォーム

 メルセデス・ベンツが、NVIDIAの協力を得て、デジタルを駆使した「ソフトウェアデファインドな車両開発」に取り組んでいる。同社は今後製造する車両について、インテリジェント車両向けシステム「NVIDIA DRIVE Orin」の下で設計・開発し、オープン3D開発プラットフォームの「NVIDIA Omniverse」を用いたNVIDIA DRIVE Simプラットフォームにおいて、インテリジェント運転機能のテストなどを行う。

 両社が手を組む背景に、設計・開発や生産、サプライチェーンなど自動車メーカーが抱える諸課題を挙げている。例えば、新しい車両の開発では、生産工場のレイアウトを再構成する必要があるが、そのために既存の車両の製造が一時停止するリスクが生じるという。

 現在、メルセデスは、ドイツのラシュタットにある工場で、生産をEV(電気自動車)専用の新プラットフォームに切り替えようとしている。同工場では A-ClassとB-Class、コンパクトSUVのGLA、EVのEQA を製造している(写真1)。

 そこでメルセデスとNVIDIAは、既存の生産を中断させない「デジタルファースト工場」プロセスを構築し、より機敏な車両生産を目指す。その成果は各国のメルセデス・ベンツ生産ネットワークにも展開されるという(写真2関連記事名門メルセデスが挑むデジタルトランスフォーメーション、取り組みの進捗と課題:第23回)。

写真1: EQAを製造するドイツ・ラシュタットのメルセデス・ベンツ工場(出典:独メルセデス・ベンツ)
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写真2:メルセデスは「デジタルファースト工場」プロセスの下、車両生産をデジタル化する(出典:米NVIDIA公式YouTubeチャンネル
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世界中の工場と同期するデジタルツインを実現へ

 NVIDIAはメルセデスの取り組みの中核となるOmniverseについて、「あらゆる業界の企業・組織においてデジタルツイン構築・運用が可能なオープン3D開発プラットフォームである」と説明している。同プラットフォームの技術は、米ピクサー(Pixar Animation Studios)が開発した3Dシーングラフ形式と同形式を扱うプログラム群「Universal Scene Description(USD)」に基づいているという。「企業や開発者は、カスタムの3D パイプライン構築によりデータのサイロ化を解消し、集約されたシミュレーションで唯一信頼できる情報(SSOT)との対話ができる」(NVIDIA)。

 メルセデスのプランナーは、Omniverse上で工場のデジタルツインにアクセスし、必要に応じて実際の工場の見直しや最適化を行える。「仮想世界で迅速に評価・検証しつつ現実世界に実装するサイクルにより、現場のエンジニアの効率を、人間工学に基づいて最大限に高めることができる」(NVIDIA)としている。

 さらに、Omniverse をメルセデスの「MO360」データプラットフォームに接続することで、1つの工場にとどまらず、世界中の工場との同期が可能になる。これにより、グローバルな生産ネットワーク全体で運用が合理化・最適化されるほか、製造装置への無線によるソフトウェアアップデートなども可能になるという。

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