東京海上日動火災保険は2023年4月19日、保険領域における対話型AIの試験活用を同年6月に開始すると発表した。保険領域に特化した対話型AIであり、大規模言語モデルを用いて開発した。開発にあたっては、PKSHA Technologyおよび日本マイクロソフトと連携した。対話型AIは、独自のシステム環境で進めることで、入力情報の2次利用や外部への流出を防ぐ。
東京海上日動は、保険領域における対話型AIの試験活用を2023年6月に開始する。保険領域に特化した対話型AIであり、大規模言語モデルを用いて開発した。開発にあたっては、PKSHA Technologyおよび日本マイクロソフトと連携した。対話型AIは、独自のシステム環境で進めることで、入力情報の2次利用や外部への流出を防ぐ。
対話型AIは、東京海上日動が保有する大量のマニュアルや保険商品約款などの情報を用いて、保険領域に特化させた形で開発した。さらに、保険の補償内容や手続き方法といった各種照会に対して、対話型AIが回答案を自動生成するツールも開発した。2023年6月に、社内向けの照会応答のサポートツールとして利用を始める。
Microsoft Azure OpenAI Serviceを利用し、東京海上日動専用の開発環境を整備した。これにより、入力情報の2次利用を防止するなど、情報セキュリティ面に配慮した。また、AIの利用にあたっては、情報流出のリスクを避けるため、特定の契約情報や個人情報の取り扱いに関するルールを設定し、利用者全員に対して伝達を徹底する。
試験運用を通じて対話型AIの知見を蓄積し、2024年度中に全国の社員が活用できる機能としての導入を目指す。今後、学習するデータの範囲を拡充していくとともに、社内システムと連携を図っていくことで、社員の照会応答、契約業務プロセス、保険金支払業務プロセスといった各種オペレーション業務の改革につなげていく。
「大規模言語モデルを利用した対話型AIの活用が、各分野で注目を集めている。対話型AIは、文章の理解力と回答生成能力があり、保険業界においても社内の業務効率化や顧客対応品質の向上など、多くの業務において活用できる可能性がある」(東京海上日動)
同社によると、一方で保険業界は、専門用語を含む複雑な内容のやりとりも多く、実務における対話型AIの活用には一定のハードルがあるという。この課題の解決に向けて、今回、PKSHAらと連携した。