アステリアは2023年6月16日、IoTエッジコンピューティング用ミドルウェア「Gravio」をクラウドコンピューティングへと拡張した「新Gravio」を発表した。これまでと同様に個々のデバイス(PCやARMデバイス)で個別にエッジ処理を実行しながら、これらデバイス(ノード)からデータを集めてクラウド上で分析・可視化できるようにした。これらの一連の処理をノーコードで設定可能である。ノードのデータを管理するコンセプトを同社はNDM(ノードデータ管理)と呼んでいる。同年7月3日から販売する。販売目標は、年間で約1億円。
アステリアの「Gravio」は、IoTセンサーのデータをオフィスや工場などのローカル拠点で処理するエッジコンピューティングのためのミドルウェアである。GravioをインストールしたPCやARMデバイスが、IoTデータをローカル拠点で処理するエッジコンピュータになる。主な特徴は、GUI画面の設定だけで、ノーコードでIoTデータを加工したり連携させたりできること(関連記事:アステリア、IoTデータエッジ処理「Gravio」新版、ユーザー作成の画像認識AIモデルに対応)。
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今回、エッジコンピューティング用のGravioをクラウドコンピューティングへと拡張した「新Gravio」を用意した。これまでと同様に、個々のデバイスにおいて個別にエッジ処理を実行しながら、これらデバイス(ノード)からデータを集めてクラウド上で分析・可視化できるようにした(図1)。これらの一連の処理を、ノーコードで設定可能である。データを集約して管理・可視化するクラウド基盤「Gravio Cloud」も、新Gravioのサービスに含まれる。
同社は新Gravioを、エッジコンピューティングとクラウドコンピューティングを組み合わせたノードコンピューティングを実現するサービスとして位置付ける(図2)。「クラウド型の利点とエッジ型の利点を融合し、非中央集権型アーキテクチャ(エッジ)を基本としながら、企業が必要とする集中管理(クラウド)も可能なコンピューティング形態」(同社)とする。こうした、分散した複数のノードのデータをクラウドで一元管理するコンセプトを、同社はNDM(ノードデータ管理)と呼んでいる。
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既存のデータベースとのデータ連携を容易にする新機能として、対話型AI「ChatGPT」との連携機能も搭載した(画面1)。自然言語をもとにSQLクエリーを生成する機能である。SQL言語が分からなくても、SQLを介したデータベース操作(検索など)が可能である。発表会のデモでは、「一番古いユーザのメールアドレスのみ欲しいです」という自然言語を「SELECT email FROM public.customers ORDER BY createdate ASC LIMIT 1;」に変換する様子を見せた。こうして実行した結果をSlackで受け取る様子を見せた。
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新Gravioで追加した新機能は、表1の通りである。
新機能 | 概要 |
---|---|
Gravio Cloud(専用クラウドサービス) | 各ノードで収集した現場(ノード)のデータをGravio Cloudへ集約・統合し、情報を一元管理する |
ノード管理機能 | 各ノードとユーザー権限を管理する |
独自グラフ作成機能(統計情報機能) | Gravio Cloudに集約・統合したデータを集約し、グラフを作成する。ニーズに合わせて情報を可視化する |
ChatGPTによる連携基盤自動構築機能 | 既存データベースとの連携基盤を構築するための必要なSQLクエリーを自然言語からChatGPTが自動で生成する |
新Gravioの製品ラインアップは、表2の通りである。
プラン | Free | Business | Business Pro | Business Proライセンス |
---|---|---|---|---|
対象 | 導入前検証利用に限る | 小〜中規模環境向け(月額課金) | 中〜大規模環境向け(月額課金) | 中〜大規模環境向け(ライセンス) |
価格(税込み) | 無料 | 月額8万8000 | 月額13万2000円 | 264万円(別途必要の保守料が年額52万8000円) |
貸出センサー数 | - | 20 追加:5 |
50 追加:20 |
50 追加:20 |
Gravio Hub | - | 1台 | 1台 | 1台 |
Gravio Cloudサービス | - | 〇 | 〇 | ユーザー設置 |
動作OS(ノード) | Linux(ARMを含む)、Windows、Mac | |||
搭載推論モデル(オプション) |
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