プロティビティLLCは、ESG全般を見据えたサステナビリティコンサルティングを展開し、市場から熱い視線を集めている。企業がESGに取り組む場合、念頭に置くべきことは何なのか。ITリーダーはそこでどのような役割を果たすべきなのか。3人のキーパーソンに話を伺った。
Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス=企業統治)を考慮した投資活動や事業活動、すなわち「ESG」は、現在の企業が取り組むべき最重要テーマの一つになっている。もっとも、ESGに関するリスクはすでに20~30年前から顕在化しており、決して新しいものではない。
EとSについては、これまでも社会貢献への自発的行動や CSR(企業の社会的責任)といった観点からの対応が進められてきた。同様にGについても、ビジネス倫理や贈収賄の防止、リスク情報の開示などに焦点を当てた対策が重ねられてきたことは多くが知るところだ。ではなぜESGは、ここにきて尚いっそう耳目を集めるようになったのだろうか。
プロティビティLLC プリンシパルの中原 由起氏は、そのきっかけとなった大きな変化として「社会・環境問題が世界共通の課題として認識されるようになったこと」、「企業のステークホルダーや投資家からの関心が急上昇してきたこと」を挙げる。そして「ESGを中心とした社会課題への対応を誤ると、目標未達やブランドに対する評判(信頼)の低下など、企業の存続に関わるリスクを負うことになります」と警鐘を鳴らす。
ただし、制約が増えて動きにくくなる一方だと誤解してはならない。「ESGへの取り組みにはリスク対策の側面だけではなく、自社が新たな価値を創造し、飛躍的な成長を遂げていくチャンスになり得るという側面もあるのです」と中原氏は説く。
例えば、ESGへの積極的な関わりを示す非財務情報の開示、新製品開発、市場開拓などは投資家たちの興味・関心を惹きつける。また、グリーン消費やエシカル消費を志向する生活者への対応や、エコシステム全体を通した社会・環境課題への取り組みとその高い評価は、新たな製品やサービスの価値を生み出すとともにコスト優位性も確立し、競合他社に対する差異化にもつながっていく。「当然これらは、サプライチェーン・ネットワークの維持継続にも寄与することになります」と中原氏は強調する。
拡大画像表示
今や避けて通ることはできないESGへの取り組み。であるならば自らを時宜にかなった事業体へと変貌させ、持続的成長の礎とすべし──。その理念を体現するには、どのようなことを念頭に刻まなければならないのだろうか。さらに深掘りしていこう。
会員登録(無料)が必要です