JCOM(ジェイコム、本社:東京都千代田区)は、ケーブルテレビなどのサービスの開通業務を担う工事管理システムを刷新し、2023年2月より全国で稼働開始した。セールスフォース・ジャパンの「Salesforce Field Service」をベースに新システムを構築して工事管理業務を効率化し、工事先での滞在時間を短縮した。現場のSE約4200人、工事管理担当者約500人がタブレットを使って業務を進められ、1カ月で約9000時間の作業を削減したという。システム構築を支援したSCSKが同年11月30日に発表した。
ケーブルテレビやインターネットサービスなどの事業を営むJCOM(ジェイコム)は、サービスの開通業務を担う工事管理システムを刷新し、2023年2月より全国で稼働開始した。顧客宅に赴き点検・設置・修理・工事を行うフィールドサービス業務において、サービスエンジニア(SE)の適性やスキルを管理したうえで、SEのスケジュールをリアルタイムに把握しながら作業指示を行えるようになった(図1)。
拡大画像表示
同社における工事業務プロセスは以下のようになっている。
- 営業が顧客から申し込みを受ける
- 工事管理担当者が顧客先を訪問し、工事の要・不要を判断する
- 営業が顧客と相談し、工事の日程を調整する
- 社内または協力会社のSEの中から適切なスキルを持った人材をアサインする
- 工事を実施する
- 請求業務担当に引き継ぐ
従来の工事管理システムの場合、SEをアサインする際、依頼された工事内容に対応できるスキルや実績がシステムに反映されておらず、つど電話で確認しなければならなかった。また、1人のSEに同日中に複数の工事をアサインした場合、個々の作業・移動時間を正確に算出できず、訪問時間が次々に後ろにずれこんでしまったり、逆に無駄な待機時間が生じたりすることがあったという。
新システムは、セールスフォース・ジャパンの「Salesforce Field Service」をベースに開発した。現場のSE約4200人、工事管理担当者約500人がタブレットを使って、オンライン画面で協力会社と共有しながら業務にあたれるようになった。現場側と管理側の間でコミュニケーションロスがなくなり、業務全体の効率が高まったのに加えて顧客宅での滞在時間も短くなった。JCOMによると、1カ月あたり約9000時間の作業を削減したという。
新工事管理システムは、JCOMにおける基幹システム刷新構想の第1ステップで、今後、他のシステムの刷新にも着手する。顧客からサービスの新規申し込みや追加を受け付けるフロント業務システムを自動化するなど、CX(顧客体験)を高めるシステムなどの構築を計画している。