[事例ニュース]
明治、基幹システムの脱メインフレーム/クラウド移行がまもなく完了、8割のコスト削減を見込む
2024年3月14日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)
明治(本社:東京都中央区)は、メインフレームで稼働するレガシーシステムをJavaに書き換えて、Amazon Web Services(AWS)に移行するプロジェクトに取り組んでいる。2024年3月に販売系基幹システムの移行を完了、同年6月に全面移行を完了する予定である。アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)の脱メインフレーム支援サービス「AWS Mainframe Modernization」を利用している。AWSジャパンが同年3月14日に開いた説明会に明治のキーパーソンが登壇して取り組みを説明した。
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明治は2000年頃まで、メインフレームを中心に据えて基幹システムを含む業務システムを構築・運用してきた。2009年の経営統合後、段階的にオープンシステムやクラウドサービスへと切り替えていった。しかし、脱メインフレームを検討した2022年9月時点では、業務システムの14%は、依然としてメインフレーム上で稼働していたという。
「このレガシーシステムの維持・運用に年間数億円のコストがかかっており、もったいないと考えていた」(明治で執行役員デジタル推進本部本部長を務める古賀猛文氏、写真1)。
メインフレームは5年間のアウトソーシング契約で利用しており、2025年4月に次回の更新を控えていたことから、脱メインフレームの方針を固め、2022年9月にモダナイゼーションプロジェクトを開始した。メインフレーム上のCOBOLやPL/Iのプログラム、ジョブを記述したJCL、各種ユーティリティ(アセンブラによる開発を含む)などをオープン系システム(Javaアプリケーション)に書き換え、これをパブリッククラウドのAmazon Web Services(AWS)に移行する。
移行対象の処理はおよそ1万5000件。これらを棚卸しして、競争の源泉となる処理と、基幹システムなどの非競争領域/現行維持で構わない処理に分けた。競争の源泉となる処理については、クラウドサービスやパッケージなどを活用してビジネスのトレンドや変化に合わせたアプリケーションに置き換える。一方、基幹システムなどはJavaに書き換えてモダナイゼーションし、脱メインフレームを図る(図1)。
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モダナイゼーションの対象領域については、さらに2つに分けている。1つは販売系基幹システム(1500処理、96万行)で、データのサイロ化を見直してデータ活用を推進させるという観点に立ち、新たにJavaで再構築。その際、重複した処理を再整備し、各機能を部品化した。また、外部システムとデータを連携しやすくするため、ETLツールを採用してデータ連携を疎結合化した。こうして販売系基幹システムは、2024年3月に移行を完了した(図2)。
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一方、その他のシステム(800処理、147万行)については、ツールを使ってJavaに自動変換し、現行の資産を継続活用する。これにより、大きな時間とコストをかけずに脱メインフレームを図る。こちらは2024年6月に完了する予定という(図3)。
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