[事例ニュース]
住友重機械建機クレーン、ローコード開発を徹底し、新規プロジェクトの内製化率50%を達成
2024年3月21日(木)IT Leaders編集部、日川 佳三
住友重機械建機クレーン(本社:東京都台東区)は、ローコード開発によってシステム開発の内製化を進めている。従来は100%外注していたが、現在は新規プロジェクト全体の50%(システム数換算)を内製化している。資本構成変更に伴う基幹システムの切り換え時に導入したシーメンスのローコード開発ツール「Mendix」(開発元:オランダMendix)を活用している。Mendixを傘下に持つ独シーメンス(Siemens)の日本法人が2024年3月21日に発表した。
住友重機械建機クレーン(HSC)は、住友重機械グループのクレーン会社と日立建機のクレーン部門の合併で設立された。資本構成の変更によって住友重機械工業の連結完全子会社となったことに伴い、日立グループの共同利用型システムからの離脱が決定、短期間で会計システムを切り替える必要が生じた。
以前の同社は、データの型式交換用途として、米/ポルトガルOutSystemsのローコード開発ツールを利用していた。会計システムの移行も当初はOutsystemsを継続して使う予定だったが、ビジネス成長を踏まえて試算したところ、Outsystemsの利用金額が予算を上回ることが判明。機能追加やシステム増強に応じて費用がかかるOutsystemsの料金体系によるという。そこで代替のツールを検討し、シーメンスのローコード開発ツール「Mendix」(開発元:オランダMendix、画面1)にリプレースした。
画面1:ローコード開発ツール「Mendix」の画面例(出典:Mendix)拡大画像表示
HSCは基幹システムの切り替えの後、システム開発を内製化するプロジェクトを開始した。「これまでは100%外注していたため、システム開発コストがかさんでいた。また、システムを迅速に実装するには、社内に開発ノウハウを蓄積する必要があると考えた」(同社)という。こうして、情報システム部門がMendixを用いてローコード開発を行う体制を整備。内製化を促進した結果、内製化率は新規プロジェクト全体の50%に達しているという。
内製化を進めるにあたっては、開発における共通ルールの不在が大きな障害になったという。同社は次のように説明する。
「コーディングにかかる時間短縮という観点では、Mendixは十分期待に応える。しかし、プロジェクトごとに個別にモジュール開発を進めたため、システムの成長に伴い開発コストが次第に減じる“ラーニングカーブ”が頭打ちとなっていた。そこで、抜本的なコスト削減のため、モジュールなどを社内で共通化した」(HSC)
また、内製化に取り組む人材の確保にも苦労したという。そこで、Mendix以外のローコード開発ツールやJavaなど他言語の利用を禁止したり、2019年には「開発標準」を定め、ローコード開発における望ましい“作法”を開発現場に徹底したりといった工夫を行った。「Mendixそのものがプログラマーの育成期間の短縮に貢献している。他言語と比べて半分以下の時間で開発スキルを習得できる」(同社)という。
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