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日立、ミッドレンジSANストレージ新機種「VSP One 2U Block Appliance」、データ削減効率などを向上

2024年5月30日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)

日立製作所のストレージ/サーバー事業を承継した日立ヴァンタラは2024年5月30日、ミッドレンジSANストレージの新機種「Hitachi Virtual Storage Platform One 2U Block Appliance」を販売開始した。現行のミッドレンジストレージ「VSP Eシリーズ」の後継に当たる。新機種では、データ圧縮効率を高めるなどして大量データを効率的に保存できるようにした。また、ランサムウェア対策として、スナップショットからの復元時間を改善しているほか、I/O負荷の低い時間帯に消費電力を抑える機能を搭載している。

 日立製作所のストレージ/サーバー事業を承継した日立ヴァンタラの「Hitachi Virtual Storage Platform(VSP)One 2U Block Appliance」(写真1)は、ミッドレンジSAN(FC/iSCSI)ストレージの新機種である。ドライブにNVMe接続のSSDを採用し、B28/B26/B23の3モデルをラインアップする。現行のミッドレンジクラス「VSP Eシリーズ」の後継に当たる。

写真1:ミッドレンジストレージ「Hitachi Virtual Storage Platform One 2U Block Appliance」の外観

 VSPシリーズはストレージ仮想化機能を備えている。VSP配下に接続された複数の異機種ストレージ(クラウドストレージのAmazon S3を含む)を集約して、論理的に1台のストレージとして動作する。2台のVSPによる広域クラスター構成にも対応する。データアクセス頻度に応じてストレージプール内でデータを自動的に移動させる動的ILM(ストレージ階層化)機能や、データの重複排除・圧縮機能も備える。

図1:ミッドレンジストレージ「Hitachi Virtual Storage Platform One 2U Block Appliance」の特徴(出典:日立ヴァンタラ)
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 VSP One 2U Block Applianceは、大きく以下の3つの特徴を持つ(図1)。

(1)データ圧縮効率向上などで大量のデータを効率的に保存
(2)スナップショットからの復元時間改善によるデータ保護(ランサムウェア対策)の強化
(3)I/O負荷の低い時間帯の消費電力抑制による環境負荷の低減

LZMA圧縮を採用し、データ削減効率を2倍に向上

 (1)のデータ削減効率向上にあたって、VSP One 2U Block Applianceでは、データ圧縮アルゴリズムをLZMA(Lempel-Ziv-Markov chain-Algorithm)に変更。従来比でデータ削減効率(重複排除とデータ圧縮による総合的な削減効率)が2倍になった。同社によると、データセットに対するデータ削減率は、従来アルゴリズム時が50%、新アルゴリズム時が75%である(図2)。

図2:圧縮アルゴリズムの変更などにより、データ削減効率を高めた(出典:日立ヴァンタラ)
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 また、データ圧縮をCPUからオフロードするハードウェアアクセラレータを搭載するモデルを増やしている。ミッドレンジのVSP Eシリーズにおけるハードウェアアクセラレータ搭載モデルはこれまで最上位モデルのVSP E1090のみだった。VSP One 2U Block Applianceでは全3モデル(VSP One B28/B26/B23)のうち上位2モデル(B28/B26)が搭載。アクセラレータの効果により、I/O性能(データ転送速度)は、従来モデル(VSP E790/VSP One B28)に比べて約2倍に向上している。

 加えて、RAID構成におけるデータ容量の拡張を容易にしてデータの保存効率を高めている。従来モデルと同じRAID6構成(データ用ドライブの他にパリティ用ドライブ2基を備え、2基が同時に故障しても復旧可能にする構成)だが、ドライブを1台単位で細かく追加できるようになった(図3)。

図3:データ容量をドライブ1基単位で細かく増やせるようにした(出典:日立ヴァンタラ)
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 従来のVSPシリーズでは、RAIDセットがドライブ8基(データ用6基、パリティ用2基)またはドライブ16基(データ用14基、パリティ用2基)で固定だった。これらRAIDセット単位で拡張する必要があり、1台単位での拡張ができなかった。また、ドライブ故障時に交換するためのスペアドライブも、別途専用に用意する必要があった。

●Next:スナップショットバックアップからの復旧時間を大幅に短縮

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