[調査・レポート]

国内ERPパッケージ市場は2028年まで年平均13.6%増で成長、人的資本経営や法改正が後押し─デロイト トーマツ ミック研

大手企業の人的資本経営基盤として人事パッケージが導入増

2024年7月31日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)

デロイト トーマツ ミック経済研究所は2024年7月31日、ERPパッケージソフトウェアの国内市場規模を調査した結果を発表した。2023年度は前年対比117.9%の3009億円だった。人的資本経営の基盤として、大手企業を中心に人事パッケージの導入が拡大している。インボイス/電子帳簿保存法などの法改正対応が会計、販売管理、生産管理パッケージの導入を後押ししている。

 デロイト トーマツ ミック経済研究所は、ERPパッケージソフトウェアの国内市場規模を調査した。

 調査は、総合ソリューションベンダー4社とソフトウェアベンダー52社の計56社を対象に、ターゲットユーザー規模別の4分野(表1)に分けて実施。各社の取材数値とその他ベンダーの推計値を合算し、2022年度から2024年度(見込み)の市場分析と、2028年度までの中期予測を行った。

表1:ERPパッケージソフトウェアのターゲットユーザー規模別4分野(出典:デロイト トーマツ ミック経済研究所)
分野 ターゲット
ユーザー規模
(年商)
運用規模 その他の特徴
大手企業向けERP 500億円以上 グローバル

多言語・多通貨対応
会計から生産管理まで統合
1000人以上の企業をターゲット

中堅企業向けERP 50~500億円 WAN

日本特有機能に強い
会計中心

中規模企業向けERP 5~50億円 LAN

PCスタンドアロンの拡張版

小規模企業向けERP 5億円以下 PCスタンドアロン

店頭箱売りが中心

 ターゲットユーザー規模別の4分野を合算した2023年度の市場規模は前年対比117.9%の3009億円だった。2024年度は前年対比116.5%の3505億2000万円を見込む。2024~2028年度まで年平均13.6%増で成長を続け、2028年度には5700億円の市場規模に達すると予測している(図1)。

図1:ERP(統合基幹業務システム)パッケージソフトウェアの中期予測(2022年度~2028年度予測)(出典:デロイト トーマツ ミック経済研究所)
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 「大きなトレンドとして、人事パッケージは人的資本経営の基盤として大手企業を中心に導入が拡大している。会計、販売管理、生産管理パッケージはインボイス/電子帳簿保存法などの法改正対応が導入を後押ししている」(同社)。4分野それぞれの2023年度の調査結果の概要は以下のとおりである。

 (1)年商500億円以上の大手企業向けERP市場の出荷金額は、は前年対比113.0%の959億2000万円だった。デジタルトランスフォーメーション(DX)や“2025年の崖”への機運からシステム刷新が本格化している。人事パッケージにおいては人的資本経営が大きなトピックになっている。

 (2)年商50~500億円の中堅企業向けERP市場の出荷金額は、前年対比109.1%の962億2000万円だった。会計や販売管理において、インボイスや電子帳簿保存法など各種法改正対応により導入が増えている。また、グローバル系ERPや自社開発システムを運用していたユーザーが、今後の法改正の対応や業務スマート化の観点から国産ERPに移行する動きが活発になっている。

 (3)年商5~50億円の中規模向けERP市場の出荷金額は、前年対比139.3%の471億7000万円だった。中堅企業向けERPと同様に、会計や販売管理において、インボイスや電子帳簿保存法などの各種法改正が本格化した。法改正対応が一巡した後もペーパーレス需要は残るため、引き続き市場は伸びていく見込みである。

 (4)年商5億円未満の小規模企業向けERP市場の出荷金額は、前年対比127.4%の615億9000万円だった。特定業務に特化した複数の業務ソフトウェアを組み合わせるワンストッププラットフォーム型の浸透や、インボイスを中心とした法改正対応のITプロジェクトが貢献した。

 デロイト トーマツ ミック経済研究所は2024年6月に、今回の調査結果および分析をまとめたレポート「基幹業務パッケージソフト(ERP)の市場展望 2024年度版」を刊行している。

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