アイ・ティ・アール(ITR)は2025年1月9日、国内セミナー/展示会運営システム市場を開催形式別に見た市場規模の推移と予測を発表した。2023年度の売上金額は31億3000万円、前年度比10.6%増で、2024年度は同15.0%増を見込んでいる。コロナ禍における行動制限の解除を受け、オフライン形式でのセミナー/展示会の開催が増加している。また、人手に依存していた運営業務の効率化や自動化に対するニーズが市場の拡大を後押ししている。
アイ・ティ・アール(ITR)は、国内セミナー/展示会運営システム市場を開催形式別に見た市場規模の推移と予測を発表した。
調査にあたって、セミナー/展示会運営システムを、「オフラインおよびオンラインで開催されるセミナーや展示会において、出展社、協力会社、参加者向けの各種管理・運営を支援するための製品・サービス」と定義している。参加者の事前登録や当日の入場管理、オンライン会場のデザイン機能、ライブまたはオンデマンドでの動画の配信、各種商談支援といった機能が含まれる。
開催場所・形式により、実会場での開催を支援する「オフライン」、インターネットでの開催を支援する「オンライン(2D)」、3D仮想空間(メタバース)での開催を支援する「オンライン(3D仮想空間)」の3種類に分類している。なお、Web会議システムをベースとしウェビナー運営を主目的とした製品・サービスは対象外としている。
同市場の2023年度の売上金額は31億3000万円、前年度比10.6%増で、2024年度は同15.0%増を見込んでいる(図1)。ITRによると、コロナ禍における行動制限の解除を受け、オフライン形式でのセミナー/展示会の開催が増加している。また、人手に依存していた運営業務の効率化や自動化に対するニーズが市場の拡大を後押ししているという。
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開催場所/形式別に見ると、2023年度は、オフライン市場が前年度比29.0%増、オンライン(2D)市場は同18.2%減、オンライン(3D仮想空間)市場は同27.8%増だった。2024年度は、オフラインおよびオンライン(3D仮想空間)で高い伸びを予測している。
ITRでは、2028年度の売上金額とCAGR(2023~2028年度)について、オフライン市場は50億8000万円で20.5%、オンライン(2D)市場は9億2000万円で0.4%、オンライン(3D仮想空間)市場は8億5000万円で29.9%をそれぞれ予測している。
ITR プリンシパル・アナリストの三浦竜樹氏は調査結果について次のようにコメントしている。「コロナ禍を契機としたオンラインセミナー/展示会のデジタル化は、オフラインへの回帰が進む中にあっても、ハイブリッド開催による顧客体験の向上に寄与している。参加者の興味や行動データの分析をはじめ、スケジュール管理やリアルタイム情報取得を可能にするモバイルアプリの活用、ライブストリーミング技術の高度化、VR/ARを活用した仮想空間での開催など、これらの技術の進化によって今後さらなる市場の成長が期待できる」。
今回の発表は、市場調査レポート「ITR Market View:SFA/MA市場2025」に基づく。同レポートは、SFA、MA、名刺管理、オンライン商談システム、セールスイネーブルメントツール、セミナー/展示会運営システムの全6分野を対象に、国内52ベンダーへの調査から、2022~2023年度売上実績および2028度までの売上予測を掲載している。