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ファナック、海外8拠点の基幹システムをクラウドERP「SAP Business ByDesign」で刷新

タイ、マレーシアで先行稼働

2025年1月15日(水)日川 佳三、河原 潤(IT Leaders編集部)

工作機械用CNC装置や産業用ロボットを製造するファナック(本社:山梨県南都留郡)は、海外の関係会社8拠点においてSAPジャパンのクラウドERP「SAP Business ByDesign」の導入を開始した。現在、2拠点の導入が完了している。主な導入効果として、月次レポートの作成時間がこれまでの半日から10分に短縮した。導入を支援するワンアイルコンサルティングが2025年1月15日に発表した。

 山梨県南都留郡忍野村(おしのむら)に本社を置くファナックは、工作機械用CNC(Computerized Numerical Control:コンピュータ数値制御)装置や産業用ロボットなど、ファクトリーオートメーション/スマートファクトリー技術を強みにする電気機器/産業機械メーカーである。世界に270以上のサービス拠点を有し、生涯保守サービスを提供している。

 今回、海外の関係会社8拠点(タイ、マレーシア、フィリピン、オセアニア、南アフリカ、インドネシア、ベトナム、シンガポール)を対象に、SAPジャパンのクラウドERP「SAP Business ByDesign」(画面1)の導入を開始した。現在、2拠点(タイ、マレーシア)の導入が完了している。

画面1:「SAP Business ByDesign」の画面例(出典:SAPジャパン)
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 2020年当時の同社では、海外拠点においてフルスクラッチで構築したフィールドサービス向け基幹業務システムの保守サポート終了が迫っていた。また、会計や販売などは別システムで運用しており、これらをクラウドERPの導入で刷新することを検討していた。

 導入にあたっては、ERPパッケージが備える標準機能と業務とのフィット&ギャップを分析するアセスメントを実施し、半年間をかけて旧システムの業務マニュアルや画面とByDesignの機能を比較・検討。その結果、8割以上がフィットすると判断し、導入プロジェクトが始動した。

 最初の導入はタイで、2023年2月に稼働開始した。部品点数が40万点以上に及ぶことから、価格表などデータの移行に1カ月を要した。会計データの移行では、既存データは小数点5ケタ、ByDesignは小数点2ケタで使えない文字もあるなどデータの手直しが発生している。また、為替レートについて取引は月末、売上は当日など国によってルールが異なり、運用も含めて工夫したという。

 次はマレーシアで、2024年6月に稼働開始。同国の業務プロセスはシンプルで、業務の標準化に適していたため、マレーシアで用いた手法を踏襲している。タイへの導入で構築したテンプレートを改修しながら導入を進めてテンプレートの完成度を高めたという。現在、テンプレートを横展開し、フィリピンでの導入に取り組んでいる。

 先行したタイとマレーシアでの導入効果として、システム基盤をオンプレミスからクラウドに移行し、RPAも活用してIT本部の運用負荷を軽減。本社経理部門による月次レポート作成時間は、従来の半日から10分に短縮された。決算書はシステムからデータをダウンロードして容易に作成でき、拠点からのデータ収集も手入力も不要になったという。

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