米Qlik日本法人のクリックテック・ジャパンは2025年2月19日に説明会を開き、事業戦略を明らかにした。同社はセルフサービスBIで知られるが、2024年以降はデータパイプライン構築からデータ分析やAI活用まで、データ活用を包括的に支援する“新生Qlik”をアピールしてきた。2025年はそのベクトルをより追求する構えだ。併せて、昨今のデータやAIをめぐるトレンドの変化を踏まえ、組織がAIから価値を引き出すために取り組むべき優先事項を解説した。
2025年も“新生Qlik”として広範なデータ活用に注力
米クリック(Qlik)は2024年1月より、ロゴも新たにして“新生Qlik”を標榜。データの収集・統合や品質管理といったデータパイプラインの構築から、データ分析やAI/ML開発を含むデータ活用までをカバーする製品・サービスを訴求している。背景には、2023年の米Talend(タレンド)買収により、従来注力していたセルフサービスBIを中心としたデータ分析から、データ統合、品質管理を含む領域へと事業領域を拡大したことがある。
以来、AI利用の加速を念頭に、データの信頼性向上や迅速なデータ活用にフォーカスした製品・サービスの拡充に傾注している。2024年3月には、東京に日本国内初のクラウドリージョンを開設し、データ主権の確保やレイテンシーの短縮を可能にした。
続いて6月には、データ変換やデータカタログなどの機能を統合した「Qlik Talend Cloud」や、生成AIにより非構造化データから求める情報を引き出せる「Qlik Answers」を発表しれいる(関連記事:「AIを使いこなすには“長期戦”が必要だ」─QlikのカポネCEOがAIプロジェクトの成功パターンを解説)。
クリックテック・ジャパン カントリーマネージャーの今井浩氏(写真1)は、「データと成果との間に横たわるギャップを解消する」という2024年に掲げたフレーズを改めて強調。「2025年も方向性は変えず、加速度的に深化させていく」とした。
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そうした姿勢の表れが、2025年1月に発表した米upsolver(アップソルバー)の買収だ(図1)。同社はOpen Table Formatの1つ、Apache Iceberg形式のテーブルへのリアルタイムなデータ取り込みやストレージ最適化の技術に強みを持つ。今井氏は、リアルタイム性の高いデータ活用ニーズへの対応を強化するとともに、データの可搬性を高め、ベンダーロックインの低減を図るとの狙いを語った。
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