[新製品・サービス]
日立、現場作業熟練者のノウハウを取り込んだ「AIエージェント開発・運用・環境提供サービス」を提供
2025年3月27日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)
日立製作所は2025年3月26日、コンサルティング/SIサービス「AIエージェント開発・運用・環境提供サービス」を同年3月31日から販売を開始し、6月30日から提供すると発表した。建設、輸送、エネルギー、鉄道などの現場で働く熟練者のノウハウを取り込んだユーザー専用のAIエージェントを提供する。料金は個別見積もり。
日立製作所は、グループ全体でAIの業務活用・効率化に取り組んでおり、すでに数百のAIアプリケーションを社内で開発している。例えば、日立ビルシステムや日立パワーソリューションズでは、設備の施工やメンテナンス業務に伴う問い合わせ対応や初動判断にAIを活用している。
今回、これらのグループ内事例を通じて蓄積した、OT領域のナレッジ抽出手法や業務別のAIアプリケーション部品、オープンソースソフトウェア(OSS)などを基にして、ユーザー企業の各業務現場の熟練者のノウハウを取り込んだAIエージェントの構築支援を開始する。すでに日立で運用実績のあるAIエージェントを中心に、ユーザーの業務に合わせてカスタマイズして提供する(図1)。

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AIエージェントの開発では、日立のエンジニアがエスノグラフィーやAIインタビューなどの手法を用いて、ユーザー企業の熟練者が業務経験から得た直感や判断基準などを引き出してAIモデルに反映させる。また、ユーザー固有の設備図面や保全記録など各種フォーマットの文書を補正しながら、学習データやRAG(検索拡張生成)システムを構築する。
AIエージェントの開発・実行環境については、「LangGraph」「Dify」などのOSSを利用する。ユーザーの業務内容や適用範囲などの要件に合わせ、パブリッククラウドを用いて小規模に導入・検証したり、プライベートクラウドを用いて機密性が高いデータを利用する環境を構築したりする。これらの実行環境は日立がマネージド型で運用・保守を担う。
最初に、「保守問い合わせAIエージェント」を提供する。日立グループの問い合わせ業務で実績のあるAIアプリケーションをベースに開発したもので、ユーザー固有の文書や辞書などを登録することで、迅速かつ正確な回答が可能になる。
同AIエージェントは、問い合わせ内容を分析して適切な担当者へと自動配信する機能、問い合わせ内容を自動で深掘りして必要な情報を収集する機能などを備える。これらの機能を、ユーザーの業務に応じてカスタマイズすることで、保守や障害対応における多岐にわたる問い合わせ業務を支援できるとしている。
●Next:日立ビルシステムと日立パワーソリューションズの事例をサービスに反映
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