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[事例ニュース]

森永乳業、アイスカテゴリー新製品の需要をAIで予測、実証実験では人と同等精度の予測結果

2025年4月8日(火)IT Leaders編集部

森永乳業(本社:東京都港区)は、新製品の需要をAIで予測するシステムを導入した。本番導入前に実施した実証実験では、需給業務担当者と同等精度の予測結果を確認した。需要予測システム「Advanced-S&OP 新製品需要予測ソリューション」を提供したNECが2025年4月7日に発表した。

 森永乳業は、新製品の需要をAIで予測するシステムを導入した。今後、森永乳業のアイスカテゴリーにおいて、過去の販売実績やマーケティング施策データなどと、需給業務担当者の知見をもとに、新製品の需要を予測する。

 本番導入前の2024年10月から12月の約3カ月間、過去に発売した新製品の需要を予測する実証実験を実施した。この結果、取引先との商談結果から得る営業担当情報をもとにした需給業務担当者の計画と同等精度の需要予測結果を確認できた。

 今後、データ整理と継続的な分析を行うことで、予測精度の向上を期待できることから、新製品発売時の需要予測として有効性があることを評価し、本番導入に至った。「従来手法よりも早い段階で、新製品の需要を予測できる」としている。計画立案の属人性も解消可能である。

 背景として、多くのメーカーでは、発売にともなう取引先との商談よりも前に、原材料の調達や生産ラインの確保、物流の手配などに向けて、新製品の販売・生産計画を立案している。取引先との商談結果を踏まえて計画の見直しを図るものの、販売実績がある過去の既存商品に比べると誤差率が高く、欠品や過剰在庫が発生しやすい。

 熟練社員が新製品の需要を予測する場合もあるが、属人的な判断に加え、根拠の透明性や再現性の低さが課題だった。さらに、発売前の段階で先々の季節性を想定し、年単位など中長期的な需要予測を行うことは難度が高いことから、事業・予算計画の達成に向けた現状分析や評価が困難だった。

ベンチマーク製品の選定と需要予測にAIを活用

 実証実験では具体的に、(1)「新製品の需要を予測する際に参考とする既存製品(ベンチマーク製品)の選定」と(2)「ベンチマーク製品と新製品の情報の差に基づいた需要予測」の2つの作業において、AIを活用した実証実験を実施した(図1)。

図1:新製品の需要をAIで予測する実証実験の概要(出典:NEC)
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 (1)ベンチマーク製品の選定では、需要を見込む際に考慮すべき、商品の販売価格、発売季節、販売チャネル、マーケティング施策の観点を学習させたAIが、10点の異なる新製品を題材に、各新製品に対するベンチマーク製品を選定した。

 この結果、人が選定したベンチマーク製品に対し、9割の確率で同様の商品をAIが選定した。また、このベンチマーク製品の需要の因果関係をAIがモデル化し、人とほぼ同等精度の需要予測を実現した。

 (2)ベンチマーク製品と新製品の情報の差に基づいた需要予測では、ベンチマーク製品の売上実績とマーケティング施策などの因果関係をAIがモデル化し、新製品の情報や計画値を使って販売開始から3カ月間の需要を予測した。今回は、この3カ月間の需要予測結果をもとに、発売から1年間および月次の需要予測も実施した。

 この結果、3カ月間の需要予測結果をもとにした、1年間および月次の需要予測結果について、原材料の調達や中長期的な生産の過不足の調整計画、事業計画および予算達成に向けた現状分析と評価などでの活用を想定した結果、有用性を確認した。

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