[事例ニュース]

MS&ADシステムズ、保険分野の基幹システム開発に生成AIを適用

効果検証で25%の生産性向上を確認し、実業務で利用開始

2025年12月17日(水)IT Leaders編集部、日川 佳三

MS&ADシステムズは2025年12月17日、保険分野のミッションクリティカルなシステム開発に生成AIを適用する取り組みを開始したと発表した。同年12月から、日立製作所が提供する開発フレームワーク「Hitachi GenAI System Development Framework」の利用を始めている。両社が行った効果検証で、25%の生産性向上を確認しており、今後、実業務での利用を本格化させる。

 MS&ADインシュアランスグループのシステム開発・運用を担うMS&ADシステムズは、保険分野のミッションクリティカルなシステム開発に生成AIを適用する取り組みを開始した。

 2025年12月より、日立製作所が提供する、システム開発に生成AIを適用するための開発フレームワーク「Hitachi GenAI System Development Framework」の利用を始めている(関連記事日立、基幹システムのコーディングに生成AIを適用するための開発フレームワークを整備)。

 実運用に先立ち、2025年5月から9月にかけて、主要業務である自動車保険の既存システムにおける機能追加開発を対象に、コード開発支援の効果を検証した。この結果、製造・単体テスト工程において、従来型開発手法による生成結果に近い精度が得られたほか、約25%の生産性向上を確認した。

 検証の結果を受けて、製造・単体テスト工程を起点に、実業務での利用を開始した。今後、適用範囲を拡大し、MS&ADシステムズ全体のシステム開発において、上流工程である要件定義や外部設計を含めた全工程への適用を目指す。

図1:システム開発に生成AIを適用するための開発フレームワーク「Hitachi GenAI System Development Framework」の概要。LLMから適切なアウトプットを得るためのプロンプトを生成する(出典:日立製作所)
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 導入したフレームワークに備わるコード生成支援機能を活用している。RAG(検索拡張生成)を用い、品質の高いコードをアウトプットするためのプロンプト(指示文)を生成する(図1)。開発者の経験や生成AI熟練度に依存せず、品質の高いコードが得られるとしている(図2)。

図2:システム開発に生成AIを適用するための開発フレームワーク「Hitachi GenAI System Development Framework」のメリット(出典:日立製作所)
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 開発フレームワークの提供元である日立は、社内検証において生成したソースコードの70~90%が適切であることを確認するなど、機能強化とユースケースの蓄積を図っている。

 同社は、生成AIを活用したシステム開発における課題を次のように説明し、開発フレームワークの下で、ユーザーが抱えるこれらの課題を解決していく構えである。「前提条件や業務要件など大量で複雑なプロンプト情報の入力が必要で、技術者にプロンプト作成の負荷がかかる。また、生成AIを扱う技術者の経験や知識によって、プロンプトの内容や情報量にバラつきが生じ、生成AIから得られる回答品質に差が発生する」

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