「NetSuite」は、主要なビジネス管理機能を提供するSaaS型の統合業務アプリケーションである。本稿では、2007年9月に発表されたNetSuiteの最新版「NetSuite 2007.0」の特徴と新機能について紹介する。
SaaS型の統合業務アプリケーション
「NetSuite 2007.0」日本版は、ネットスイート株式会社が提供するSaaS型の統合業務アプリケーションの最新版で、CRM機能を提供する「NetSuite CRM Version 2007.0」と、CRM機能にWebサイトホスティング、受注管理などを加えた「NetSuite CRM+ Version 2007.0」、さらにERPやEコマースの機能を統合した最上位版の「NetSuite 2007.0」という3つのメニューが用意されている。
NetSuiteの主な特徴は次のとおり。
業務プロセスを緊密に結合
現状では、見積もり、受注、梱包・出荷、請求、顧客サービスといった業務プロセスごとに異なる業務アプリケーションが導入されており、各プロセス間のデータ連動性に欠けることも少なくない。その点、統合業務アプリケーションとして提供されているNetSuiteでは、各業務プロセスのデータを統合データベースに格納することにより、それぞれのプロセスを緊密に結合し、迅速な意思決定を促す。
SaaSモデルによるコスト削減
また、NetSuiteはソフトウェアの機能をネットワーク経由で利用するSaaS(Software as a Service)モデルで提供されているため、社内のサーバーに導入する従来のパッケージソフトウェアとは異なり、インフラやハードウェアの導入コストが不要で、運用・管理コストも大幅に削減することができる。
このほか、導入から稼働までの期間短縮や、バージョンアップなどが容易に行える点もSaaSモデルの利点であり、それはそのままNetSuiteにも当てはまることになる。
導入の容易さとBI機能が追加された最新版
最新版となる「NetSuite 2007.0」日本版では100以上の新機能が搭載されている。ここでは、主な変更点である3つの機能について紹介する。
導入を容易にするネットスイートアシスタント
導入支援ツールとして、「ネットスイートアシスタント」と呼ばれるWebベースの対話型設定ツールが提供された。これにより、システムセットアップやメンテナンスを簡略化や、Ajax技術を用いてドラッグ&ドロップによるデータインポートや、見積書や注文書、納品書のカスタマイズが行えるようになった。
BI機能を提供するスイートアナリティクス
基幹業務の統合データベースとして機能する点を活かし、「スイートアナリティクス」と呼ばれるBI(Business Intelligence)機能も提供された。これは、表計算ソフトウェアのマクロのような計算式を組み込むことで、さまざまな財務指標の分析を行う「パフォーマンス・スコアカード」機能や、KPIやトレンドグラフを表示する「ダッシュボード」機能などからなる。 データウェアハウスのような複雑で時間のかかるシステムを利用しなくても、こうしたBI機能を活用し、迅速な意思決定につなげられる点がNetSuiteの利点となる。
日本の商慣習に合わせた変更
NetSuiteは海外で開発されているアプリケーションであるため、今回は日本の商慣習に合わせる形でのローカライゼイションが行われた。たとえば、月ごとの請求書発行を一括で行う機能や、和暦表示が追加されている。
提供時期と価格など
利用料金は「NetSuite CRM Version 2007.0」は1ユーザーあたり月額1万1,000円(税別)からで、「NetSuite CRM+ Version 2007.0」は1ユーザーあたり月額1万5,000円(税別)からとなっている。なお、執筆時点で「NetSuite 2007.0」の価格は未定となっている。
ネットスイート株式会社では、トランスコスモスとミロク情報サービスの2社と販売パートナーとして提携しており、今後も積極的にパートナーを開拓していくとしている。
参考情報
開発元:ネットスイート株式会社
製品サイト:http://www.netsuite.co.jp/portal/jp/products/netsuite/main.shtml