Googleをはじめとする全文検索エンジンの登場は、ウェブの世界を大きく変えた。検索エンジンによって、ユーザーは膨大な情報の中から必要な情報を容易に探し出せるようになった。また、そうした情報の選択の際は発信者の社会的ポジションなどに左右されず、「検索キーワードへの関連性の高さ」というユーザーのニーズに基づくものとなった。
Googleをはじめとする全文検索エンジンの登場は、ウェブの世界を大きく変えた。検索エンジンによって、ユーザーは膨大な情報の中から必要な情報を容易に探し出せるようになった。また、そうした情報の選択の際は発信者の社会的ポジションなどに左右されず、「検索キーワードへの関連性の高さ」というユーザーのニーズに基づくものとなった。
このようにウェブに新しいパラダイムをもたらした検索エンジンだが、これまでは社内情報の検索に利用することは難しかった。しかし、近年になり、ウェブで利用されている検索エンジンの技術を社内情報の検索に利用したエンタープライズサーチ製品も登場しており、注目を集めつつある。今回は、株式会社損害保険ジャパンへの導入事例から、エンタープライズサーチ製品の導入の成果と課題について紹介する。
導入の背景
今回の導入事例として紹介する株式会社損害保険ジャパン(以下、損保ジャパン)は社員1万5,000人、グループ企業を含めた全社では2万5,000人の社員を擁する大企業である。同社では、社内の情報蓄積・受発信の基盤としてLotus Notesを利用しており、蓄積されている文書数は6万文書、データベース(以下、DB)の数は1,500個に上る。
Notesでは次のような情報を扱っており、社内のあらゆる業務ノウハウが蓄積されているといえる。
- 通達
- ニュース
- 掲示板(部店や役職、テーマごと)
- マニュアル類
- FAQ
- 営業工作やサポートセンター対応などの好事例集
- ツール類
- 帳票集
しかし、こうした情報の流通について、次のような課題を抱えていた。
課題1:本社主導で大量に発信される通達・連絡情報
損害保険事業は、法律に基づいて商品やサービスの内容が定められ、他の業種に比べて行政による規制・監督の範囲が大きい。あらゆる法令・規則の内容を全社に徹底するため、本社から通達・連絡事項が各部課に向けて発信されており、頻繁に発生する法令・規則の改変に対応するべく日々の発信数は多数となる。たとえば、営業職の場合、発信されるニュースは日に10件以上、月間250件以上あるという。
社員は、これらの情報を理解したうえで業務を行うことを求められるが、本社主導で送られる通達や連絡は、必ずしも現場社員が即座に理解できる内容ばかりではない。たとえば、「このように法令が変わりました」という通達だけでは、現場としてはこれによってどの業務をどのように変えればよいのか、例外的なケースではどのように対応するべきなのかなどについては、追加説明が必要となることもある。
本社は全社の業務が適切に遂行されるように情報を漏れなく発信するし、受け手となる現場側も新たな指示内容を正しく知りたいと思っている。しかし、一方通行で情報を発信しているだけでは、双方の理解齟齬が発生してしまうのは避けられない。その結果、通達を読んだだけでわからない部分は、各営業店やサービスセンターが個別に本社に電話で問い合わせるという非効率なやり取りが発生してしまっていた。
課題2:蓄積情報の活用不足
損保会社の業務では、発生した事故に対して保険金を支払うべきかどうかを適切に判断しなければならない。その際、提供された通達情報だけでは判断がつかない場合、判断基準となるような別の情報を探さないといけない。曖昧な状態のまま判断を下してしまうと、不適切な保険金支払いなどの問題につながるリスクがある。そういうときに、他の営業店での事例があれば有力な助けになることがある。
こうしたケースに対応するべく、損保ジャパンでは前述した膨大な情報がNotesに蓄積されていた。また、営業店ごとに作成し、引き継がれているマニュアルやツール類もここに含まれているので、保険業務において重要なノウハウとすることができるはずだった。
しかし、Notesでは、複数キーワードでの検索や、複数DBにわたる横断的な検索がやりづらく、他の営業店のノウハウを迅速に検索し、活用することが難しかった。そのため、せっかくの優良情報が埋もれてしまっていることがあった。きっとどこかに同じような問題があるだろうと思いながら適切な情報が見つけられないがゆえに、社員は仕方なくゼロから自分で対処することも少なくなかった。「情報が足りないわけではなく、活かしきれていない」という損保ジャパン社員の声が当時の状況を物語っているだろう。
このような課題を解決するため、同社は2006年にエンタープライズサーチ製品の導入に踏み切った。
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