「現状の業務を正確に可視化し(as-is)、それを元にあるべき業務を描く(to-be)。その上でto-beに基づいて素早くシステムを実装する」—。業務改革や情報システムの刷新には不可欠の作業プロセスだが、実践は容易ではない。2008年8月末、それを可能にする方法論を開発するため、NTTデータとアトリス(東京都世田谷区)は協業すると発表した。
新たに開発する方法論のベースになるのは、NTTデータのビジネスモデリング方法論「MOYA」と事業戦略の策定やKPI(重要業績評価指標)を見いだす手法「Biz-Alive!」、それにアトリスの業務可視化方法論「PEXA Methodology」 と、同方法論を適用した結果得られる成果物からJavaアプリケーションを自動生成するツール「PEXA Engine」である。このうちNTTデータのMOYAとBiz-Alive!は超上流工程の戦略策定向けで、システムの要件定義以降の工程をPEXAが担う。システム企画・開発の観点から見た場合、新たな方法論のミソになるのはPEXAだ。
ではPEXAとはどんな方法論か。基本的には、伝票処理を中心とした定型業務システムに特化しており、一定の手順に従って利用者と伝票(データ項目)、伝票を操作するためのルールを導出(一連の作業はすべてPEXAの開発ツール上で行う)。その上ですべての業務オペレーションを、「SVO=S(主語)+V(述語)+O(目的語)」の形式で記述する。
この過程で伝票のフロー(状態遷移)やデータモデルなどを確定できるため、曖昧さを排除し、かつユーザーが理解できる形でas-isとto-beを定義できるのが、最大の利点だ。一連の過程で作成した成果物を、PEXA Engineに投入すると、Javaソースを自動生成する。