日本電気(NEC)は2009年4月23日、サービス事業の強化に向け、4月1日付で設立した「ITサービスビジネスユニット」を中核として、2012年度までにNECグループでサービス要員1万人の体制を確立することを発表した。また、新たなサービスとして、主に企業の基幹システムを対象に、同社が保有するプラットフォーム資産を活用したクラウド指向のサービスを2009年7月から販売開始する。さらに同サービス提供のため、仮想化関連ミドルウェアなど、独自技術によるサービス提供基盤の強化を行うとのこと。
発表によるサービス事業強化の主な内容は以下のとおり。
1.2012年度までにグループで1万人のサービス要員体制を確立
顧客のビジネスプロセス再構築を支援する「ビジネスモデルコンサルタント」、サービスの提案からSI・運用までをトータルにマネジメントする「LCM(Life Cycle Management)型プロジェクトマネジャー」等のサービス事業中核要員約2,000名を育成。サービス要員の増強にあたっては、グループ全体に共通な要員体系、教育体系を全面刷新し、計画的な育成を進める。また、サービススキル展開には、同社独自の各種方法論(プロセス改革方法論、サービスモデリング技法、サービスエンジニアリング技法 等)を整備し、早期の浸透を図る。
2.「クラウド指向サービスプラットフォームソリューション」の販売を7月から開始
企業等の基幹システムの機能を、同社保有のプラットフォーム資産を活用しサービスとして提供。基幹業務を支えるサービスを提供モデル別(SaaS型・共同センター型・個別対応型)に整備し、「ITサービスビジネスユニット」内の業種別事業本部に設置した「サービスソリューション事業部」を中心に提案して、顧客に最適な形態で提供する。
3.サービス提供基盤の強化
同社およびアライアンスパートナーのデータセンターにおいて、クラウド指向のサービス提供基盤システム(サービスプラットフォーム)を構築する。仮想化システムの自動生成・リソースの高効率運用を可能にする運用管理ミドルウェアを新規開発するとともに、同社のOMCS(オープンミッションクリティカルシステム)のSIテクノロジーを全面的に適用し、堅牢で柔軟なサービスプラットフォームを構築予定。また、運用プロセスやシステム環境の標準化に加え、「Express5800/ECO CENTER」をはじめとする省電力・省スペースのサーバー・ストレージやグリーンIT技術の導入でTCOを削減する。そして、同サービスプラットフォームを継続的に強化することで、顧客の基幹業務を支える、安心・安全なサービス提供に役立てる。
同社は3月に、自社内組織だけでなく国内外の主要関係会社もカバーする販売・経理・資材の自社基幹システムの全面刷新を開始。システムの構築にあたっては、連結経営管理のスピードアップ・業務効率化・TCO削減を目的に、業務プロセスの抜本的改革を行い、さらに、基幹業務をサービスとしてグループ内の各社各部門に提供するクラウド指向のサービス提供基盤システム(サービスプラットフォーム)を構築するという。
同社は、この新基幹システム構築の実践で培うノウハウをベースに、顧客のサービス利用に向けた高度なコンサルティングや業種/業務アプリケーションのサービスとしての提供など、クラウド指向のサービスをトータルに提案していく予定。今回の体制強化により、基幹システム領域での新たなサービス事業を確立し、サービス事業の一層の拡大を進めていくとしている。