[新製品・サービス]

顧客情報やTwitterのつぶやきをECサイト集客に積極活用するSaaS

2009年12月17日(木)IT Leaders編集部

ネットマトリックスは2009年12月17日、ECサイト出店者支援サービス「EC-Success」を販売開始した。セールスフォース・ドットコムのPaaS「Force.com」上で構築し、1カ月という短期間で開発した。

 楽天市場やYahoo!ショッピングストアなどに代表されるECサイト。年間数億円を売り上げるECサイト出店者もあり、1つの小売形態として既に確立した感がある。だが安定した利益計上を継続できる“勝ち組”はひと握りだ。ECサイト出店者数増加に伴い、各ECサイト間の競争は激化。相次ぐ値下げ競争やポイントの過剰付与が常態化し、出店者の6~7割は赤字となっているのが現状だという。

 いかに安定した収益を確保するか―。鍵となるのは顧客情報の積極的な活用だ。ECサイト出店者は顧客の住所などといった個人情報だけでなく、購買履歴も取得できる。積極的に活用すれば、新製品に興味のありそうな顧客にメールで商品の購入を促す案内メールを送付するといった取り組みができる。

 だが、ECサイト出店者が顧客の購買情報を得る手段は限られている。大手ECサイトの場合、購買情報をDBから直接取得する手段を提供しておらず、取引ごとに明細をメールで各出店者に送信するのが主流だ。出店者が非構造データであるメールから顧客情報を分析するのは手間がかかり、積極的な活用が進んでいなかった。

 ここに目をつけ、メールの購買情報を基に顧客情報DBを作成し、容易に分析可能にするサービスを開発したのがネットマトリックスだ。同社は2009年12月17日、Force.com上で構築したECサイト出店者支援サービス「EC-Success」を販売開始した。

 Force.comが搭載する電子メール受信機能を利用する。専用のメールアドレスを各ECサイトに登録すると、顧客の取引明細メールがEC-Successのシステムに送られる。システム内でテキスト解析を実施し、顧客の氏名や製品名といった項目ごとに自動分類してDBに登録する。ユーザーはWebブラウザから顧客情報の閲覧や、過去の購買履歴の分析などが可能になる。現在サービス対象のECサイトは楽天市場、Yahoo! ショッピングストア、ビッダーズ、Amazonなど6サイト。

 特徴的なのは、Twitterとの連携機能だ。ある商品についてのTwitter上でのつぶやきを収集して一覧表示する。現在は閲覧のみだが、2010年2月発表の次期バージョンでは、一覧から各Twitterにつぶやける機能を設ける。「製品に興味のある人に直接アプローチできるようになる」(ネットマトリックス新規事業開発マネージャーの尾市氏)。

 価格は初期導入費用1万3900円、月額利用料金が5ユーザーまで3900円から。月額料金1万5000円以上が主流という他社の同様サービスに比べ、低めに抑えた。

 同社は本サービスを核にした周辺サービスを充実させて収益を上げる考え。サービス開発でも協力関係にあったECサイトのコンサルティングを手がけるネットショップ総研と協力して、ECサイトの売り上げ向上のためのコンサルティングを実施するほか、中国のECサイト事情に精通しているパートナーとの協業で、中国のECサイト「タオバオ」への出店のためのコンサルティングなどを提供していくという。2010年度に100社への導入を目指す。

写真 EC-Successの画面イメージ。ある商品についてのTwitter上でのつぶやきを収集して一覧表示する
写真 EC-Successの画面イメージ。ある商品についてのTwitter上でのつぶやきを収集して一覧表示する

■EC-Success http://www.ec-success.biz/

(修正)記事中で製品名を一部「EC-Support」としていましたが、「EC-Success」の誤りでした。また表現の一部を変更いたしました。お詫びして訂正いたします。上記2点は本文では修正済みです。(2009年12月17日12時41分)

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