エーピーシー・ジャパン(APCジャパン)は2010年7月9日、データセンター冷却装置の新製品として、ホットアイルの天井部分に蓋をするように設置するモジュール型の冷媒式冷却装置「InRow OA」を発表した。専用の室外機「RDU」が冷媒と冷水の間で熱交換を行う。2010年9月1日に販売開始する。価格は、10kWラック×14本向けの標準構成(InRow OA×8台、RDU 1台、設置用器具)で2900万円(税別)。販売目標は今後3年間で200システム。
APCジャパンの「InRow OA」は、データセンターのラック列を冷却するモジュール型の冷却装置である。主な特徴は2つある。特徴の1つは、設置面積を必要としないよう、ラック列の上部に設置する点である。ホットアイル(ラックの廃熱側を向かい合わせた部分)の天井部に蓋をするように、InRow OAや天井板を並べて配置する。1台のInRow OAの冷却能力は、定格で19.7kW(100V時)、22.2kW(200V時)。InRow OA 1台でおよそ10kWラック2本分の冷却能力を備える。
もう1つの特徴は、冷媒(代替フロン)を用いてデータセンター内の空気を冷却しつつ、専用の室外機(RDU: Refrigerant Distribution Unit)が冷媒と冷水との間で熱を交換する点である。データセンター室内に冷水設備が要らないため、設備投資コストや漏水リスクなどの問題を回避できる。InRow OA 1台あたりの冷却能力は冷水型に及ばないが、複数のInRow OAを並べて利用することで冷却能力が高まる。RDU 1台の定格冷却能力は160kW。
なお、同社が2006年4月から提供しているラック列向け(前面吸気、背面排気のラックマウント機材向け)の冷却装置「InfraStruXure」は、ホットアイルの天井部ではなく、ラックを設置する場所にラックにの代わりに設置し、ほかのラックとともにラック列を構成する装置である。設置が容易で、1台~数台程度の小規模な導入が可能だが、一方でラック設置面積を占有してしまうという弱点があった。