「これからは、クラウド(システム運用をアウト・ソーシングする形態)によって業務を効率化する時代になる。クラウドの本質は垂直統合であり、運用を含めてシステムの構成要素を一括提供できるかどうかがSIサービスの価値を決める」---。SIベンダー大手の富士通は2010年12月21日、同社SI事業の説明会を開催し、今後のSI(システム構築)サービスのあり方を示した。
従来、ユーザー企業の多くは、システム開発こそSIベンダーにアウト・ソーシングするものの、稼働開始後のシステムは自前で運用してきた。ところが、ユーザー企業のIT部門は既存システムの保守に追われ、経営層や事業部門のニーズを汲むことがままならない状態となっている、と同社のシステム生産技術本部は指摘。SIベンダーが提供するクラウドを利用することで、こうした問題が解決できるとする。
富士通が言う垂直統合型のクラウド・サービスとは、システムの開発サービスや運用サービスを含めたかたちで、システムの構成要素を一括して提供できるサービスを指す。ユーザーが保有するオンプレミス型のシステムでは、システムごとに開発プロセスや運用プロセスが異なるのが普通。これに対して、運用を含めてアウト・ソーシングすることで、開発プロセスや運用プロセスがSIベンダーの標準手法で統一され、効率がよくなるとする。