プロセサやメモリー、ディスクといったハードウェア部品群を「プール」として管理しておき、それらを必要に応じて結合してコンピューティング資源を供出する─。富士通研究所は2011年9月26日、「資源プール化アーキテクチャ」と呼ぶ独自設計に基づいたサーバーの試作に成功したことを発表。より柔軟なITプラットフォームを構築する基礎技術であることをアピールした。
必要なコンピューティング資源をオンデマンドで用意する環境は、昨今の仮想化技術の進展でにわかに整ってきた。プラットフォーム層の実態は、例えばブレードサーバーの集積だが、これをさらに細かいデバイス単位でプールを形成しようというのが同社のアプローチ。イージェネラのPAN Managerに近いように思える。米ガートナーがIT基盤のトレンドの1つに挙げる「ファブリックベース」のコンピューティング環境もこれに類するものだ。
開発した技術は3つに分かれる。1つは「プール管理機構」。これは必要に応じたプロセサやディスクといった部品をプールから選び出し、OSなどを配備してサーバーを形成するもの。仮想化技術(ハイパーバイザ)を使わないのでオーバーヘッドを抑えられる。
次は「ディスク管理用ミドルウェア」で、上記サーバーにストレージ機能を提供する役割を担う。処理要件に応じてプールから最適なディスクの組み合わせを選んでサーバーと紐づける。
3つめは、プール内で部品間を6Gb/秒で接続する「ディスクエリアネットワーク」だ。試作機では「通常のローカルディスクと同等のアクセス性能を発揮した」(取締役 ITシステム研究所長 兼 次世代テクニカルコンピューティング開発本部技術長 久門耕一氏)。
動的にシステム構成を変更することで、事前のキャパシティプランニングが不要になるほか、部品単位の性能を最大限に生かせる。プロセサやディスクが故障しても、接続先を切り替えるだけで復旧させることも可能だ。2013年度の実用化を目指すが、製品/サービス化の時期については未定としている。 (折川)