効果的なコラボレーションを具現化する上で、メールや電話といった従来型の手段が通用しにくくなっている。そこには、人々の行動や価値創造が「サービス」を中心に回り始めた時代背景がある。企業システムを考える上で欠かせない「今の潮流」を俯瞰してみよう。
ビジネスシーンにおけるコミュニケーションや情報共有はどうあるべきか、ひいては創造的な仕事を進められる環境をいかに整備するか─。この問いに対し、単純に世間に著しく普及し始めたからという理由でソーシャルメディアの要素を取り入れてみようという発想は、やや短絡的ではないだろうか。
企業システムを取り巻く状況を俯瞰し、大きな流れをつかむ。つまりは今我々がどのような時代に身を置いているのかを理解することが、有効で生産的なコラボレーション基盤のあり方を考える上で欠かせない。これは、企業ITのグランドデザインにも広く通じる側面もあろう。以下、今の潮流を整理してみたい。
生活者起点で世の変化が加速
個が魅惑的な体験を先取り
まず重要な視点の1つが「生活者を起点とするパラダイムシフト」が加速しているということである。生活者(一般コンシューマと表現してもいいだろう)によるICTのとらえ方や活用法が時代の先を行き、後になって企業に波及するという動きだ(図2-1)。
もっとも、こうした事象そのものは今に始まったことではない。電子メールを例に挙げれば、パソコン通信に代表される生活者の自己表現や情報収集のための活用が先行し、それから企業への普及が始まった。インターネットにしても、まずは生活者がWebの仕組みの利便性を感じ取り、それが例えば企業内のイントラネットなどに形を変えて実装された経緯がある。
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