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IBM、次世代のITインフラが備えるべき条件「スマーター・コンピューティング」を発表、ほか

3ページで分かる2012年10月の主要ベンダーの発表

2012年11月9日(金)IT Leaders編集部

日本IBMは2012年10月4日、記者発表会を開き、スマーター・コンピューティングの最新の内容を発表した。トヨタ自動車は2012年10月2日、グループ内のコミュニケーション基盤を統一することを明らかにした。富士通は2012年10月10日、“ビッグデータ”の活用を支援するクラウドサービス群「データ活用基盤サービス」のサービス体系と料金体系を刷新した。米EMCやシスコシステムズらは2012年9月13日、“ビッグデータ活用”に関する社会実験プロジェクトをスタートした。

IBM
次世代のITインフラが備えるべき条件「スマーター・コンピューティング」

IBMの「スマーター・プラネット」のTVCMを見たことがあるだろうか。未熟児の生体データをモニタリングして、生命にかかわる感染症を医師よりも早く察知する。機械から寄せられるデータを分析し、故障が発生する前にメンテナンスする。年齢や性別ではなく、1人ひとりの顧客に合わせて商品やサービスを提案する─。

第三者として見ている分には、いずれも好奇心を掻き立てられる取り組みだが、自らが実践するとなれば、いくつもの疑問が思い浮かぶ。大量のデータを今のインフラで捌き切れるのか。どのように業務システムとセンサーを連動させるのか。そもそも、自社の予算で手が届くような世界なのか。

ITによる業務革新を実現したいと考える企業に向けて、「これからのITインフラはかくあるべき」と指針を示すのが、IBMが「スマーター・コンピューティング」と呼ぶコンセプトである。メインフレームやサーバー、ストレージといったハードウェアから、ミドルウェアやアプリケーションまで、IBMの各製品が次世代の企業ITを構築するために、いかに統合されるのかを示すものでもある。昨年来、全社的なメッセージとしてアピールしてきたが、このほど、その内容をアップデートした。

セキュリティを新たな柱に追加
多数のハードウェア製品を投入

日本IBMは2012年10月4日、記者発表会を開き、スマーター・コンピューティングの最新の内容を発表した。同社によれば、次世代のインフラが備えるべき要件は3つある。

1つめは、クラウドの活用。ITインフラを迅速に調達できる体制を整えることで、製品やサービスの市場投入を早める。また、パブリック、プライベートともにクラウドの利用は運用を効率化し、コストの削減を実現できる。結果、予算を戦略的な領域に投じることが可能になる。

2つめは、ビッグデータへの対応。市場や顧客、自社内から可能な限りのデータを収集し、有益な知見を引き出 すための体制を備えること。具体的には、ストレージやデータウェアハウス、アナリティクス、データマイニング、データ保護などを指す。

3つめは、セキュリティ。ソーシャルメディアやスマートデバイス、仮想化の浸透は、企業ITに大きなリスクももたらす。今後、より多くのデータを扱うことを考慮すれば、強固なセキュリティは必要不可欠である。セキュリティが社会問題化していることを受け、今回、新たに盛り込んだ。

コンセプトをブラッシュアップする一方で、それを実装するための製品強化にも余念がない。発表会では、複数のハードウェア新製品を発表した(表参照)。いずれも、処理性能の向上、柔軟なリソースの配置、データ量の増加といったテーマで機能強化を図っている。

例えば、UNIXサーバー「IBM Power 770/780/795」は、新型プロセサ「POWER7+」を採用。クロック数の向上やL3キャッシュの拡張により、従来のPOWER7と比較して、処理性能を最大40%強化した。また、仮想化技術「Power VM」を機能拡張。1プロセサあたり運用可能な仮想サーバー数を倍増させたほか、異なる筐体に仮想サーバーを移動させる「ライブ・パーティション・モビリティ」のパフォーマンスを強化した。Power 780/795ついては、新機能「Power System Pools」を搭載。複数のPower 780/795のプロセサやメモリーを1つのリソースに集約し、物理マシンをまたがって利用できるようにした。 (緒方)

表 2012年10月4日に発表された新製品群
表 2012年10月4日に発表された新製品群
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