ペット向けの保険商品などを手がけるアニコム ホールディングスは2013年9月25日、動物病院を対象にした医療支援システムの開発・販売で富士通と協業し、クラウド・ベースの新サービスを両社で共同開発し2013年11月から提供を始めると発表した。新たに症例などを蓄積・分析することで、診療現場での治療技術の向上や将来の予防医療などにもつなげたいとしている。保険の支払いなどに伴う不正行為を排除するという狙いもある。
アニコムと富士通が共同開発するのは、動物病院における受付から診察、会計までの業務を支援するためのクラウド・サービス(写真1)。地域医療連携や、ペットの飼い主との診察状況共有なども可能にする計画だ。「アニレセ Fシリーズ」の名称で提供し、アニコムが販売する。すでに、埼玉県川口市の「どうぶつの総合病院」で実証実験を始めている。
アニレセ Fでは、クラウド・サービスであることを生かし、症例というビッグデータを蓄積・分析することによる診断の的確さや治療技術の向上などを目指す。アニコムの小森伸昭代表取締役社長は、「動物病院は、犬や猫、ウサギ、鳥などの多種多様な動物を対象に、人間でいう小児科から脳神経科、外科などのすべてを一人の獣医師が診る体制になっており、残念ながら症例の科学的分析や横展開が十分になされていない。データ分析により獣医学における質の向上に寄与したい」と力説する(写真2)。
富士通の川妻 庸男 執行役員常務も、「最新は、人獣感染症などもあるだけに、動物の症例を統計処理することで、人間の病気についても新たな知見が得られる可能性が高い」と話す。加えて、「動物病院に対しては規制が少なく、電子カルテの地域連携など、一般病院では難しい仕組みの有効性の実証にもつながる」と期待する。