仮想化ソフトによるプライベートクラウドとAWSなどのパブリッククラウドを組み合わせた、柔軟で拡張性の高いITインフラ─。いわゆるハイブリッドクラウドと呼ばれるものだ。機密性の高い情報を扱うシステムをプライベートクラウドで稼働させ、処理量が変動しやすい、あるいは短期間のみ必要なシステムをパブリッククラウドで運用するといったシステムの特性に応じた構成が可能になるため、これからのITインフラのあるべき姿の1つと見られている。
だが、これを構築・運用するのは簡単ではない。ハイブリッドという以上、それぞれを個別に構築・運用・利用するのではなく、サーバーの調達も運用管理も同じやり方でできる必要があるし、例えばパブリッククラウド上で試験的に構築したシステムをプライベートクラウドで本番運用するといったこともできる必要があるからだ。
そのためのクラウド管理ツール「Red Hat Cloud Forms3.0」をレッドハットが提供開始したと2013年11月13日に発表した(図1)。Cloud Forms3.0では、パブリッククラウドのAWS、クラウドOSのOpenStack、およびVMware vSphere、Hyper-V、Red Hat Enterprise Virtualization(RHEV)を使ったプライベートクラウドを、”一元的”に管理できる。

図1 Red Hat Cloud Forms3.0の概要
一元的の意味は、利用者やインフラ管理者から見て透過的に扱えるということ。例えば利用者は、「サービスカタログ」と呼ぶ機能を使って選択肢の中からCPU性能やメモリー、ストレージを指定するだけで仮想サーバーを調達できる。その際の承認ワークフローや課金管理機能も備える(図2)。ITインフラ管理者には、インフラ全体へのセキュリティなどのポリシー適用、全体の稼働状況の監視やキャパシティ管理、費用管理、システム資源を適切に組み合わせて利用可能にするオーケストレーションといった機能を提供する。

図2 Cloud Formsが備えるクラウド管理機能
特定のゲストOS(仮想マシン=VM)に障害が起きたときの原因分析機能もある。少しずつ加えられた修正や変更を考慮したドリフト分析や、似た構成で同じ障害を起こす可能性のあるVMを検出する機能などだ。一言で言えば「AWSなどを含めた仮想化環境を包括的に管理できる製品として開発している」(レッドハットの纐纈真嗣 製品・ソリューション事業統括本部長)である。
レッドハットだけにCloud Forms3.0はオープンソースソフトとして提供する。レッドハットによるサブスクリプション版は、スタンダードサポート版が年間24万400円(2ソケットサーバー1台)、プレミアムサーバーが33万1900円(同)となっている。
なおCloud Formsは元々、IaaS型のハイブリッドクラウドを構築・管理するためのソフト。昨年12月に類似のソフトを提供する米ManageIQを買収し、機能やカバー範囲の強化を進めてきた。今回のバージョンの3.0で、レッドハットが推進役の1社であるクラウドOSのOpenStack、それにAWSを管理できるようになった。「AWSのアクセス管理機能IAMにも対応し、Cloud FormsにログインすればAWSもそのまま利用できる。ハイブリッドクラウド実現に向けた大きな一歩だ」(纐纈事業統括本部長)。
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