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[クラウド活用に向けた「法律+ITセキュリティ」相談室]

【第4回】ライバル企業へ情報が流出、どこまで責任を問える?

2014年5月12日(月)「法律+ITセキュリティ」相談室

企業への導入が急速に進み始めたクラウド・サービス。しかし、データがクラウド・サービス事業者のサーバー上で保存・管理されることから、データの消失・流出といったリスクを考え、導入に二の足を踏む企業も少なくありません。クラウド・サービスの導入・活用の留意点を法律とITセキュリティの両面から解説していく本連載では、弁護士の藤井 総先生とシスコシステムズの楢原 盛史セキュリティソリューションスペシャリストのそれぞれが回答します。前回は、端末の監視(モニタリング)に対する疑問を取り上げました。第4回は、情報流出した従業員に対する責任追及について解説します。

【経営者の疑問】

 IT化を進め、業務効率も上がり、事業も順調に伸びてきた。その矢先、従業員によるライバル企業への情報流出が発覚した。情報を流出させた従業員には、どんな責任を及できるのだろうか。そもそも、情報を取得したライバル企業に対する責任追求はできないのだろうか。

【藤井 総 弁護士から回答】

関連する主な法律:不正競争防止法(営業秘密)

研究データ流出事件は氷山の一角

 東芝と事業提携を結んでいたメーカーの元従業員が、退職直前に東芝の研究データを不正に持ち出し、転職先の韓国企業に提供したとして、2014年4月3日、元従業員が不正競争防止法違反(営業秘密侵害罪)で東京地検に起訴されました。

 この事件は、企業内の情報が、韓国や中国などの外国企業に流出している実態の一端を垣間見せた例として、大きく報道されました。私自身、同様の事件を手がけたこともありますが、流出先は韓国企業でした。この種の事件が水面下では多数起こっていることには頭が痛くなります。ひとたび情報流出が起きてしまった場合、どのように対処すればよいかは、読者のみなさんも気になるところでしょう。

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