システム乱立による運用の複雑化やコストの増大といった企業が抱える問題からいかに脱却し、真にビジネスに貢献できる攻めのITを実現していくか――。富士通・ネットアップ・SAPジャパンの3社が一堂に会し、次世代ERPとなるSAP Business Suite powered by SAP HANAへの移行、IT運用の自動化を目指したSimplificationなどをテーマに、それぞれの立場から今後のSAPシステム基盤のあり方について語った。また、SAPシステム基盤の最新化にいち早く取り組んできた日本発条(ニッパツ)が、そのプロジェクト成功のポイントとこれからのロードマップを示した。本稿では、2014年7月30日に開催されたセミナーの内容をレポートする。
システム基盤シンプル化の核心は
IT運用の自動化にある
パッチ適用時の膨大なテスト、夜間バッチ処理のエラー対応、テスト環境の構築など、システム運用に多くの手間と時間を割いているユーザーは少なくない。さらに、今後も増え続けていくシステム、複雑化する一方のシステム運用、ITコストの増加など、企業が抱えているITの問題はますます深刻になっていくばかりだ。
「IT担当者必見!SAPが考える究極のIT運用自動化、Simplificationについて」と題するセッションに登壇したSAPジャパン テクノロジーソリューション部のソリューションプリンシパルである立石道生氏は、冒頭の問題に対して「だからこそ、今あらためてITシステムのシンプル化(Simplification)について考える必要がある」と訴える。
そこには大きく、インフラの統合、プラットフォームの統合、業務プロセスの標準化といったアプローチが存在するが、立石氏が特に重要と強調するのは「IT運用の自動化」だ。既存システムの運用と次世代システムの検討・構築の両面からIT担当者が忙殺されてしまっている現状からも、自動化への取り組みが必須となっているのである。
では、この課題に対してSAPはいかなる方法で応えていくのか。立石氏はIT運用の自動化コンセプトとして、「プロビジョニング」「運用」「メンテナンス」「最適化」の4つの柱を提示。そこに向けてSAPが提供している自動化ソリューションとして、業務プロセスを自動化する「SAP Central Process Scheduling by Redwood」、システム運用プロセスを自動化する「SAP IT Process Automation by Cisco」、自動でデータ取得するCMDB(構成管理データベース)の「SAP IT Infrastructure Management」、自動処理をトリガーするための監視を行う「SAP Extended Diagnostics by CA Wily」、テスト処理を自動化する「SAP Quality Center by HP」、環境構築を自動化する「SAP Landscape Virtualization Management(SAP LVM)」を紹介した。
さらに、立石氏とバトンタッチして登壇したSAPジャパン D&Tソリューションズのシニアソリューションスペシャリストである藤盛稔氏が、SAP LVMの最新情報として、今後の機能拡張予定も含む詳細な説明を行った。
藤盛氏によると同製品は、「仮想化の特徴を最大限に生かしてシステム運用の効率化を図るツール」という位置付け。SAPインスタンスの状況を可視化して操作を支援する“ランドスケープ・ヴィジュアライゼーション&セントラルオペレーション”を提供するとともに、“SAPシステムのプロビジョニング自動化”という2つの特徴を備えている。