データ分析を次の目玉にする。それも営業の責任者や担当者が、気軽に使えるものにする−−。米Salesforce.comは2014年10月13日から米サンフランシスコで開催する年次カンファレンス「Dreamforce2014」において、データ分析のSaaS(Software as a Service)である「Analytics Cloud」を主役に据える模様だ。マーク・ベニオフCEOが9月中旬に、自身のTwitterで明らかにした。
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図1がベニオフ氏のTwitterに掲載された画像。「Company Confidential, So Not Distribute」などと明記されるものの、カンファレンスの概要を“リーク”したのだ。見づらいが、October15のKeynote(基調講演)欄に「Analytics Cloud」と書かれている。
周知の通り同社のサービスは、アプリケーションの開発・実行プラットフォームの「Salesforce1」、CRM(Customer Relationship Management)である「Sales Cloud」、コールセンターなどサポート業務向けの「Service Cloud」、それにWebマーケティングの「Marketing Cloud」がある。「Analytics Cloud」というサービスはなく、Dreamforce2014が初のお披露目になるわけだ。
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実は図1の画像の後に、図2の画像がTwitterにアップされた。こちらのOctober15の欄には「Project Wave」とあり、Analytics Cloudの文字はない。しかし同社関係者によると、「Project Waveは分析系ソリューションのコードネーム」であり、予定が変わったわけではないようである。
それにしても、グラフ化といった簡単な分析機能はSales Cloudなども備えている。Force.com(Salesforce1の一部)では、例えばMotionBoard(ウイングアーク1st製)のような分析ツールも利用できる。Analytics Cloudとこれらの関係はどうなのか?
現時点ではまったく不明だが、NewYork Times(電子版)などの報道を見る限り、Analytics Cloudは「使いやすい」という意味で、はるかに高度なものになる可能性がある。
例えば米IBMは最近、自然言語でデータを活用できる「Watson Analytics」というサービスを発表した(関連記事『データ分析の専門家はもういらない!?米IBMがWatsonによる分析サービスを発表』)。米Microsoftもクラウドベースの機械学習機能「Microsoft Azure Machine Learning(ML)」を6月に発表済み(オフィシャルブログでの発表)。さらに米Oracleも9月末に予定する「Oracle Open World」で使いやすさを重視した分析技術/ソリューションを発表すると見られる。
当のSalesforce.comは、2013年に意思決定支援を消費者向けアプリ並みに使いやすくすることを目的にしたEdgeSpring(http://www.edgespring.com/)を買収。2014年7月には弊誌『CRMが機械学習で進化する!?』で報じたようにRelateIQを買収するなどで技術ベースを拡張している。
こうした米ITベンダーの動きの背景には、「使いやすくなったとはいえ、現在のBI(Business Intelligence)は普通の営業担当者が気楽に使えるレベルにはなっていない」という考え方がある。
2014年のDreamforceの参加者は10万人を超えると見込まれる(Salesfoeceの目標は15万人)。実際に見に行くのは大変だが、少なくともどんなソリューションが出てくるのかは注目しておく必要があるだろう。