千葉県市川市はBCP(事業継続計画)強化に向け、業務データを確実で効率的に保管するバックアップ環境を刷新した。データの重複排除機能を活用して2世代分のバックアップ実容量を以前の31.40TBから7.62TBに削減し、約2週間を要していたフルバックアップを約3日間で終えるようにした。
市川市では仮想化基盤用とファイルサーバー用に2台のストレージを置き、それぞれのストレージのスナップショット機能を利用して1次バックアップを取得。それを磁気テープに保管する形でフルバックアップを行っていた。オーソドックスな形態だが、バックアップ量が多くなり、要する時間もかかる問題を抱えていた。
今回、2台のストレージに代えてネットワークストレージ「NetApp FAS3250」(NetApp製)を導入。併せて、データ統合管理ツール「Simpana」(CommVault製、ネットワールドが販売)を採用した(図)。Simpanaには重複排除機能はもちろん、重複排除後の差分ブロックのみを転送する「DASH Copy」やフルバックアップを作成する「DASH Full」といった機能がある。1次バックアップはNetAppのスナップショット機能で取得する点は同じだが、Simpanaにより76%の重複排除率を達成し、フルバックアップに要する時間も大幅に短縮した。
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従来はストレージのスナップショット機能とバックアップソフトの連携などに工夫が必要だったが、これもSimpanaで一元管理できるようになり、負担軽減につなげたという。またストレージの刷新に伴い、SSDをキャッシュとして利用できるようになった結果、サーバーの増強なしにレスポンスやファイルアクセスを高速化した。
BCPに関しても、万一の事態が生じた際に重要な業務データを確実かつ迅速に復旧できるようになった。今後は、仮想化基盤への庁内のシステム集約を進め、BCPを一層強化する。なお一連のシステム構築は、大崎コンピュータエンヂニアリング(東京都品川区)が担当した。