景気回復の今こそレガシーシステム問題を訴える好機とばかり、レガシーマイグレーションサービスを提供するベンダーが増えている。ベンダー各社の戦略は別にしてもITのビジネスへの貢献を考えると、確かにレガシー問題から脱却するチャンスかも知れない。
景気回復と言えるかどうかはともかく、円安・株高・好業績により企業に追い風が吹いていることは確かだ。CIOやシステム責任者にとっては新規システム構築だけでなく、長年の懸案である“レガシーシステム問題”を解消するチャンスである。30年前のメインフレームやオフコン系のアプリケーションはもとより、20年前あるいは10年前のアプリケーションでも、Webやモバイル対応の面では"レガシー"になっているシステムがある。
こうした需要を睨み、情報サービス会社のシーイーシー(CEC)が「レガシーシステムを戦略的に再生させる」ことをうたったマイグレーションサービス「Re@nove」を開始すると発表した。
Re@noveのサービスには、(1)移行対象のシステム資産の特性を可視化したり、移行の難易度や必要な作業範囲を診断したりによる概算費用の算出、(2)移行先環境への変換仕様の調査や業務切り替え、データ移行方針など移行計画の策定と詳細見積もりなどの移行コンサルティング、(3)プログラムの変換や改修、データ移行、テスト業務支援といったアプリケーション移行、が含まれる。
各工程において、CECが開発したアプリケーションの解析ツールやコード変換ツールを用いて作業の効率化を図る。これにより、ゼロからの再構築に比べ、最大で50%のコストを削減できるという。
図:移行対象となるレガシーシステムと、移行先となるターゲットシステムの関係移行対象となるレガシーシステムと、移行先となるターゲットシステムの関係は図の通り。いわゆるマルチプラットフォーム対応になっている。当面は開発実績と業務ノウハウを有する金融業、製造業を中心に展開する計画だ。
レガシーマイグレーションに関してはほかにも、日産自動車や日本航空などで実績を持つソフトロードの「システムリフォーム」、オープンソースソフトウェアを使ってレガシーシステムをモダナイズするレッドハットの「OSSインテグレーション・センター」などのサービスがあり、選択肢は多い。
また富士通は既存システムをSOA(サービス指向アーキテクチャ)に基づきサービス化するクラウド環境「デジタルビジネス・プラットフォーム(DBPF)」を2015年5月に発表した(関連記事)。それに先立つ2月には640に及ぶ社内システムを今後5年間で移行する計画を表明している。そこでノウハウを積み増しし、顧客にDBPFの利用、システム移行を促す考えである。
これらのどれを選び、どう移行するのか、あるいはリホストやリライトといったレベルで移行するのか、それともモダナイゼーションに踏み込むのかなど、検討すべきことは少なくない。それでも問題を先送りすることだけは避けるべきだろう。モバイルを生かしたワークスタイルの変革やIoT(Internet of Things:モノのインターネット)への取り組み、情報セキュリティの高度化などを、レガシーシステムが阻害する可能性があるからだ。
レガシーマイグレーション / CEC / 基幹システム / モダナイゼーション / リホスト
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