日本システムウエア(NSW)は、クラウド型IoT基盤サービス「Toami(トアミ)」の機能を強化する。ベースとして採用している米ThingWorx社の「ThingWorx」が2015年5月に新バージョン「6.0」を発表したのを受けたもので、独自に拡張している機能との連携や整合性において問題がないことを社内検証で確認。今後の導入案件においては最新版対応のToamiを提供していく体制を整えた。併せて、ThingWorxの親会社であるPTCが6月にもリリースする新コンポーネント「ThingWorx Converge」にも対応する予定だ。
NSWが提供する「Toami」は、ユーザー企業がM2M/IoTを活用したシステムを効率的に構築するためのクラウド型プラットフォーム。デバイスとの通信や、収集するデータの蓄積、さらにそれらの分析・活用などに個別に対処することなく、Toami自身が備える開発機能や、外部サービス連携を組み合わせて、ワンストップで応えることに主眼を置く。50種類以上用意されているウィジェット(部品)のドラッグ&ドロップによる開発、ゲートウェイ/サーバー/無線機器/ルーターなどとのセキュアな連携、大量データの高速処理、外部サービスとのAPI連携など多くの特徴を備える。
このベースとして採用しているのが米ThingWorx社の「ThingWorx」。この5月に、最新バージョン「6.0」、およびThingWorx向けの新コンポーネント「Converge」が発表された。NSWは、これまでバージョン5.0をベースにしたToamiを提供してきたが、新バージョンの発表を受けて社内検証・評価を行い、今後新たに導入するユーザーに対して、新バージョン対応のToamiを提供していく体制を整えた。また、Convergeについても検証済みとしている。
新バージョンは、データストアSDK(ソフトウェア開発キット)をプラグインできるようにしたほか、データストアとのネイティブ連携を可能にした。パフォーマンスや拡張性、セキュリティ、インフラといった面での固有な要件に対応できるようにするためである。また、オープンソースのNoSQLデータベースであるApache Cassandraの企業向けディストリビューション「DataStax Enterprise」を使用した、新たなランタイムデータストアを提供する。DataStax Enterpriseは、Cassandraの管理機能や監視機能を大幅に強化しているほか、オープンソースの検索システムであるApache Silrとのビルトイン連携機能を提供する。ThingWorx6.0は、DataStax Enterprise対応で、IoTに求められるパフォーマンスや可用性を確保する。
また、外部のWebサービスを連携させるマッシュアップ環境を充実させたほか、ThingWorx Help Center Integration(ヘルプセンター連携)によるAPI情報などを検索する機能の提供、バリューストリーム(価値の流れを示す図)やデータテーブルの作成パフォーマンスの改善、カスタム認証モジュールの強化など、開発生産性を向上させる機能を新たに搭載している。
セキュリティ強化としては、脆弱性防御機能の改善、エッジデバイスのFIPS-140-2(暗号モジュールのセキュリティ要件)対応、証明書や暗号化の対応機能改善、転送中もしくは格納済データの暗号化機能などを実装した。
ThingWorxプラットフォームの新たなコンポーネントとして提供される「Converge」は、IoTソリューションを一気通貫で構築するための様々な機能を提供するもので、具体的には、既存のエンタープライズシステム、製造業向けシステムのデータをThingWorxプラットフォームに収集するためのハブ機能や、プロセス/イベント管理機能、分析機能、リモートアクセス/コントロール機能、コンテンツ管理機能、ダッシュボード/レポーティング機能などが、ThingWorxプラットフォームで利用できるようになる。