ミック経済研究所は2015年8月3日、UNIX/Windowsで動作するERPソフトウェアを主体とする基幹業務パッケージソフトウェア市場動向レポートを刊行し、その概要を発表した。ERP製品に関しては、大手・中堅企業向けが市場を牽引し、市場規模(出荷金額)が前年比105.3%の約1240億円に達している。
今回、ミック経済研究所が調査対象としたのは、総合ソリューションベンダー4社とソフトウェアベンダー61社/基幹業務パッケージソフトウェア8製品分野(大手企業向けERP、中堅企業向けERP、中規模企業向けERP、小規模企業向けERP、連結会計、EPM〈企業パフォーマンス管理〉、WMS〈倉庫管理〉、保全管理)。各社の取材数値を積み上げ、2013年度から2015年度の基幹業務パッケージソフトの分野別市場規模と、同3カ年の積み上げ数値を下に2019年度までの中期予測を行っている。
同調査によると、2014年度の国内基幹業務パッケージの総市場規模は約1368億円で、前年対比105.4%となった(図1)。市場成長の要因としてミック経済研は、自動車関連や海外を含めグループ経営管理ニーズとサーバーリプレースニーズが共に増大したことと、グループ企業の基盤見直し機運が増大していることを挙げている。
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ミック経済研は2015年度の同市場について、景気の上向き感から大手企業ほどシステム投資に踏み切ることが予想され、出荷金額が前年対比108.2%の約1480億円に達すると見込んでいる。「IFRSの強制適用時期の不透明感はあるものの、大手企業ほど着実にグループ連結管理の一元化の必要性からプロジェクトを進めている」(同社)
また、2016年度以降には、2016年1月より施行される社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)の本格運用や連結基盤の見直し、クラウドERPの採用が加速するといった要因から、2019年度には市場規模が約1857億円にまで拡大すると予測している。
ERPパッケージソフトウェア市場に目を向けると、2014年度の出荷金額は前年対比105.3%の1240億円となっている(図2)。市場を牽引するのは大手・中堅企業のニーズ増大で、中規模企業向けERP市場は、前年度のクライアントPCの入れ替えに連動したシステム刷新と、消費税対応特需の反動で、前年比99.8%と低調だった。同社によると、2015年度は、グループ企業などのグローバルプロジェクトやマイナンバー制度をきっかけとしたシステム追加などがERPへのニーズを押し上げ、出荷金額約1341億円、前年対比108.1%で推移すると予測している。
ミック経済研によると、大手企業向けのERPベンダーが中堅市場向け製品を投入する一方で、中・小規模企業向けのERPベンダーは中堅企業向けに製品を充実させており、製品機能の差別化も難しくなっているという。ただし調査の結果から同社は、「中堅市場での導入比率は6割程度とまだ低く、オフコン(オフィスコンピューター)ユーザーを含む巨大マーケットなだけに伸びしろは十分にあると言える」(同社)と見ている。
同調査の詳細はレポート「グループ&クラウドERPで伸展する基幹業務パッケージソフトの市場展望【2015年度版】」で詳しく報告されている。