MDM(モバイルデバイス管理)サービスを提供するアイキューブドシステムズが、そのサービスプラットフォームを、アマゾンウェブサービス(AWS)からMicrosoft Azureに完全移行することを2015年10月2日に発表した。併せて同社は、従来のiPhone用、Android用に加え、Windows10向けのエンタープライズMDMサービスを、Azure上から提供開始することも明らかにしている。
アイキューブドシステムズは、福岡県に本社を置き、MDMサービス「CLOMO MDM」やモバイル向けセキュリティサービスの「SECURED APPs」をクラウドサービスとして全国展開するベンチャー企業だ。同社はこれまでAWSをクラウドインフラとして、iOSやAndroidを搭載したスマートフォン、タブレット向けにCLOMO MDMを提供してきた。同サービスは、エンタープライズMDMサービスとしては、国内で高いシェアを持っている。
同社は2015年10月2日、日本マイクロソフトとの協業を発表し、Windows10搭載のタブレット、スマートフォン向けCLOMO MDMを提供していくことを明らかにした。これに合わせて、CLOMO MDMの提供プラットフォームを、従来のAWSからMicrosoft Azureに完全移行することにした。従来のiOS、Android向けクラウドサービスも、新プラットフォームから提供することになる。
日本マイクロソフトの平野拓也社長は、今回の移行について「Azureへの移行案件としては、国内最大級になる」としている。しかし、アイキューブドシステムズの佐々木勉社長は、「AWSでは、ベンダーロックインにならない設計を施していたため、Azureへの移行期間は約3カ月で済んだ」としている。Azureでも、引き続き同様の思想で設計しているが、「Machine Learning」など有効な機能は積極的に取り込んでいく意向だ。
アイキューブドシステムズは、Windows10と親和性の高いMicrosoftn Azure上からWindowsデバイス向けのMDMサービスを提供していく。法人向けで新製品の発表が期待されるWindows Phoneがその狙いとなる。またマイクロソフトが提供する企業向けモバイル管理スイート「Enterise Mobility Suite(EMS)]とCLOMO MDMの連携も考えているという。さらに同社の、もうひとつの主力製品であるSECURED APPsについても、時期は未定ながら、Windows10への対応を進めていく予定だ。
アイキューブドシステムズが、日本マイクロソフトとの協業およびAzureへの移行を決めた要因のひとつに、Microsoft社がMicrosoft Azure IoT Suiteを発表したことにあったという。同社は、スマートフォンや家電などを介したIoTシステムを念頭に入れたIoT向けMDM製品の開発を検討しており、AzureのIoT向けサービスを自社IoTサービスのプラットフォームに活用できると考えているようだ。