三菱ふそうトラック・バスは、同社の車両を使っている顧客に対し、燃費や整備費用といった維持運用コストをキメ細かくシミュレーションするアプリケーションを開発しホームページで提供を開始した。SAPジャパンとクニエが、2015年10月26日に発表した。
運送業者など、トラックやバスを所有し自社ビジネスに活用している企業にとって頭が痛いのが、近年の燃料価格の高止まりという問題。収益性を高めるために、燃費や整備費用といったTCO(総所有コスト)をつぶさに調べ、車両の入れ替えタイミングを最適化しようとの動きも広がっている。
こうした状況下、三菱ふそうトラック・バスが顧客向けサービスの一環として自社Webサイトで提供を始めたのが「ライフサイクルコストシミュレーター」というアプリケーション。画面に表示されるメニューに従って、所有している車両のモデルや台数、使用年数、年間走行距離といった項目を埋めると、最新モデルに乗り換えた場合のコスト削減効果がはじき出される。整備点検などのアフターサポートにかかる費用についても同様にシミュレーションすることができる。顧客の的確な意思決定を支援すると共に、買い換え需要を喚起することにつなげる。
アプリケーションの開発と運用については当初、オンプレミス環境で対処する構想もあったが、(1)サービスインまでの時間をできるだけ短くできること、(2)初版リリースの後にも素早く機能を拡張しやすいこと、などを条件に検討を重ね、最終的にはクラウド活用を選択した。
採用したのはSAPが提供する「SAP HANA Cloud Platform」。仕様の策定から開発ディレクションは、コンサルティング企業のクニエが支援した。構築に要したのは実質3週間。これは、オンプレミスでの開発を想定していた期間の6分の1、初期投資の面では3分の1に抑えられたという。
当アプリケーションは、現状ではPC、もしくはタブレット端末で利用できる。今後は、スマートフォンにも対応する予定だ。
【プロジェクトの概要】 | |
ユーザー名 | 三菱ふそうトラック・バス |
事業内容 | トラックやバスなどの大型車両の製造 |
導入システム | 車両のTCOをシミュレーションするアプリケーション |
導入目的 | 顧客サービスの一環で、新型モデルへの乗り換えタイミングの判断材料などを提供 |
主な利用製品 | SAPジャパンが提供するクラウドサービス「SAP HANA Cloud Platform」、開発プロジェクトはクニエが支援した |