日本の経済産業省とドイツ経済エネルギー省は2016年4月28日、IoT/Industrie 4.0協力に係る共同声明に署名した。日独両政府はサイバーセキュリティ、国際標準化など6つの分野で協力の可能性を探っていくとしている。
2015年3月に、安倍晋三首相と独アンゲラ・メリケル首相の間で行われた首脳会談では、IoT分野での協力について合意している。これを受けて経産省および独経済エネルギー省は、その具体化のための協議を進め、今回の共同声明に至った。
共同声明では、両省間でIoT/Industrie 4.0協力に関する局長級対話を毎年実施することのほか、民間団体や研究機関も参加して、産業サイバーセキュリティ、国際標準化、規制改革、中小企業、人材育成、研究開発という6つの分野で協力の可能性を探っていくことが決まっている。
産業サイバーセキュリティ分野では、中小企業を含む両国企業でベストプラクティスを共有するほか、制御システムセキュリティに関する共同演習を実施する。また、国際的な規制に関する協力も行っていく。
国際標準化分野では、両国間でのユースケースの共有、標準やアーキテクチャーモデルに関する協力を進める。国際標準づくりは、ドイツが進めるアーキテクチャーモデル「RAMI4.0」をベースに検討していく。
規制改革では、OECD、G7、G20など多国間対話の場で協力する。また、データの所有権を含めたデータ活用やプライバシーについての情報交換、自動運転やスマートホームを含むIoT関連の規制に関しても協力する。
中小企業および人材育成では、中小企業のためのIoTに関連する取組や政策に係わる情報交換を行う。加えて、その情報に基づいた相互訪問やビジネスマッチング、中小企業支援拠点への日独相互アクセスなどの共同プロジェクトを立ち上げる。
IoT/Industrie 4.0に関する研究開発では、IoT関連技術の研究開発ロードマップに係わる意見交換を行うほか、研究機関間での共同プロジェクトを立ち上げる。すでに、日本の産業技術総合研究所とドイツ人工知能研究所との間で、研究協力のLoI(基本合意書)が結ばれている。
さらに民間の動きとしては、日本のロボット革命イニシアティブ協議会と、Industrie 4.0の執行機関であるPlatform Industrie 4.0間で連携強化に係わる文書を締結し、相互アクセスを可能としている。Platform Industrie 4.0については、米国のIoT団体であるインダストリアルインターネットコンソーシアム(IIC)との間でも、2016年3月に協力で合意している。