法人向け文具通販大手のアスクルがクラウドシフトを加速している。現在、セールスフォースのユーザーであり、将来的にはAWS活用も検討しているという。2016年7月22日、テラスカイのプライベートイベント「TerraSky Day 2016」にアスクル CIO兼執行役員 e-プラットフォーム本部 本部長の秋岡洋平氏が登壇し、クラウドシフトの進捗を語った。
法人向け文具通販大手のアスクルは、現在100万点を超える商材を扱っている。2012年10月にはヤフージャパンと提携し、米やトイレットペーパーといった日用雑貨を扱う個人向けサービス「LOHACO」を開始するなど、さらなる事業拡大を図っている。
2017年12月には、LOHACO事業拡大のため関西に新たな物流センターを開設する。「物流を制するものがeコマースを制す」の例にならっての投資となる。
国内に7カ所あるアスクルの物流センターでは、「マテハン」を駆使した自動化が図られている。マテハンとは「マテリアル・ハンドリング」のことで、構内の運搬作業や荷役作業を機械で行うもの。
自動化の目的は「スピード重視」の実現だ。構内にはベルトコンベアが回っており、マテハンにより瞬間的に目的の商品を抜き出して自動的に仕訳、梱包を行いトラックに積み込む。Webサイトでの注文からトラックに積み込まれるまでにかかる時間は、最短で20分という速さだ。
これらを支えているのが、SAP ERPを採用した基幹システムと、その基幹システムと顧客、エージェント、メーカー、物流をつなぐ役目を担っている「SYNCHRO」シリーズからなる情報システムだ。
「SYNCHRO」シリーズは、顧客の問い合わせ情報を取り込む「SYNCHRO SMILE」、エージェントとの顧客情報共有を行う「SYNCHRO AGENT」、メーカーと予測・発注情報、入荷予定情報を共有する「SYNCHRO MART」、物流のお届け情報や配送情報を仕入れる「SYNCRO CARGO」からなる。
その他にも様々なシステムが稼働しているが、これらをアスクルでは「ECフロントグループ」「基幹システムグループ」「SYNCHRO(シンクロ)グループ」に分けている。さらに最近はビッグデータに注力しており、「ビッグデータAIグループ」も加わっている(図1)。
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