[新製品・サービス]

コンカー、ヴァル研究所とSansanとの連携で交通費精算を自動化するサービスを投入

2016年9月9日(金)笹田 仁(IT Leaders編集部)

経費管理クラウドサービスなどを提供するコンカーは2016年9月7日、経路検索や名刺管理のクラウドサービスを提供する2社と協業し、小口交通費の精算業務を抜本的に効率化する新サービスを発表した。2016年10月末までに本格リリースする予定である。

 外回りが多いビジネスパーソンにとって、日々の小口交通費の精算ほど煩わしく感じる作業はないのではないだろうか。手帳やカレンダーソフトを見返して移動ルートを思い出し、経路検索サービスなどで交通費を確かめた上で、経費精算システム(あるいは表計算ソフトなどで作成された所定の明細書)に利用駅名や金額などの細目を逐一入力するといったことが、今なお多くの企業で平然と行われている。ただででも忙しい月次の締めのタイミングに不毛な作業を強いられれば、愚痴の一つもこぼしたくなるのが当然だ。

 こうした前時代的な作業を一掃することに照準を当てたサービスが2016年9月7日に発表された。出張や経理管理などに関わるクラウドサービスを提供するコンカーが、経路検索のヴァル研究所と名刺管理のSansanとの協業の下、3社のサービスを組み合わせたもの。行動予定や訪問先の情報を巧く連携させ、交通費精算に伴う作業を徹底的に自動化する。

 ポイントは、従業員がクラウド型のスケジューラ(カレンダーサービス)に登録する訪問先の企業名から、実際に使うであろう公共交通機関による移動ルートを割り出し、経路や運賃といった情報をコンカーの経費精算サービス「Concur Expence」に受け渡す機能を実現したことにある。

 訪問先情報から最適な経路や交通費を導くフェーズで中核を担っているのが、ヴァル研究所が今年8月にリリースしたサービス「RODEM」だ。それ単体で、GoogleカレンダーやOffice365の予定表といったスケジューラに登録された訪問先企業名から最寄り駅を突き止め、同社の経路検索サービス「駅すぱあと」と連動して出発地点(自社オフィスや別の訪問先)の最寄り駅からの経路や運賃を導き出す機能を備えている。

 訪問先企業の場所を、より精緻に特定する上で役立つのがSansanの名刺管理クラウドサービスとの連携だ。Sansanのサービスは、従業員が日々交換する名刺のスキャンデータを元に、企業名や氏名、住所、連絡先といった情報を人によるチェックも交えて正確に電子化し、クラウド上で管理するもの。ある企業が支社など複数の拠点を構えている場合でも、スケジューラに企業名と面会相手の氏名を登録すれば、RODEMはSansanにある名刺情報を参照することで正しい訪問先住所を特定することができるわけだ(図1)。

図1 コンカーが今回発表したサービスは、Sansanの名刺管理サービスやヴァル研究所の経路検索サービスとの連携で実現した
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 RODEMは、利用者ごとに日々の移動経路や運賃といった一連の情報をログデータとして管理しており、これをConcur Expenceに受け渡す。いざ、交通費の精算というシーンでは、各自がConcur Expenceにログインすると未精算の細目(利用駅や運賃)が一覧として表示されるので、誤りがないかを確認して申請ボタンを押すだけでよい。冒頭に触れたように逐一転記する必要はなく、極めて短時間に精算作業を終えることができる。

 ちなみにRODEMは、移動経路情報をスケジューラに追記する機能も備えている。13時に客先にアポイントがある場合、それに間に合う直前の居場所からの推奨経路を導き出して、その内容を1つの予定としてカレンダーに登録するのだ。スマートフォンからスケジューラにアクセスすれば、その日の訪問予定も移動経路もすぐに確認できるので外回り業務をスマートにこなすことができる(図2)。

図2 訪問先の社名を入力するだけで、予定の時間に間に合う乗り換えルートを調べ、スケジューラに自動的に入力してくれる
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 今回発表されたサービスを利用するには、Concur Expense、RODEM、Sansanそれぞれと個別契約し利用者数分のアカウントを取得することが必要になる。その点では、あくまで“疎結合”ではあるが、既存のクラウドサービスをAPI連携などによって組み合わせることで、新たなユーザー価値を提供できる好例と言えるだろう。
 

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