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[インタビュー]

個人から組織へ―ITコンシューマライゼーション戦略でビジネス市場に打って出たDropbox

本社CTO Aditya Agarwal氏、日本法人社長 五十嵐光喜氏に聞く

2017年6月13日(火)杉田 悟(IT Leaders編集部)

今やオンラインストレージは、ビジネスパーソン必須のITツールと言える。PCを買えばだまっていてもMicrosoftのOneDriveが使えるし、Google AppsにはGoogle Driveが付いている。中でもコンシューマーユーザーから高い支持を得てきたのがDropboxだ。ビジネス特化型で知られるBoxとすみ分けてきた感の強いDropboxだが、ここにきてビジネスマーケットへの攻勢を強めている。ビジネスマーケットでは圧倒的不利といわれてきた同社が巻き返しのために掲げてきたのが「ITコンシューマライゼーション」だ。本社CTOのAditya Agarwal(アガーワル)氏と日本法人社長の五十嵐光喜氏に話を聞いた。

企業向けでマーケットシェア拡大

 米MicrosoftのOneDrive、Google Drive、そしてDropboxは、個人利用のオンラインストレージ、あるいはクラウドストレージサービスとして最もメジャーな3サービスだ。一方、企業利用となるとBoxが強いと言われている。

 Windowsユーザーであればすぐに利用できるOneDriveや、Google Appsの1サービスとして提供されているGoogle Driveを除くと、オンラインストレージあるいはクラウドストレージの世界的有力ベンダーは、DropboxとBoxに絞られる。この2社、ほぼ同時期にサービスをスタートさせているが、Dropboxは個人利用、Boxは企業利用に対象を絞ることで、うまくすみ分けしてきた。

 しかし、クラウドの普及によりハードルが下がり、オンラインストレージがビジネスパーソンの必携ツールとなりつつある現在、企業向けマーケットの主導権争いに変化の兆しが見える。これまで個人向けでシェアを伸ばしてきたDropboxが、企業向けのシェア獲得に熱心なのだという。

写真1:米Dropbox CTOのAditya Agarwal氏

 米本社CTOのアガーワル氏(写真1)によると、「現在グローバルで20万以上の企業ユーザーがDropboxでチームの同期を取っている」という。ほとんどが個人ユーザーだったDropboxが、なぜ急激に企業ユーザー数を伸ばすことができたのか。企業ユーザー獲得のためにDropboxが打ち出した戦略が「ITコンシューマライゼーション」だ。

 通常、企業がITシステムを導入する際には、IT担当部門がシステムを選定して現場に使わせる。つまりトップダウン型を取る。導入したはいいが、思いのほか現場からの評判が悪く、結局使われなくなるというのは、よく聞く話だ。

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