GMOインターネットは2018年1月22日、ブロックチェーンを活用したアプリケーションを素早く立ち上げるためのPaaS型クラウドサービス「Z.com Cloud ブロックチェーン」の正式版を同日付けで提供開始したと発表した。Ethereum(イーサリアム)を使ってアプリケーションを構築できる。
Z.com Cloud ブロックチェーンは、ブロックチェーンのコア技術にイーサリアムを利用した、PaaS型のアプリケーション構築プラットフォームである。APIを介して機能を利用できる。元々のイーサリアムには「記録データがすべてオープンになる」、「利用ユーザーは仮想通貨(ETH)による手数料が必要」といった障壁があるが、こうした障壁を取り除いているという。
特徴の1つは、イーサリアムで必要になるトランザクション手数料(仮想通貨)を、アプリケーションサービスの運営者がサービス利用者の代わりに払える機能である。サービス利用者は、仮想通貨を保有することなくサービスを利用できるようになるため、ブロックチェーンを活用したサービスの普及を図れる。
特徴の1つは、データのアクセス制御ができることである。ブロックチェーンは改ざんなどの不正を防止できる一方で、記録データがすべてのコンピューター(ノード)にオープンになるという課題がある。これに対してZ.com Cloud ブロックチェーンでは、ブロックチェーンと並列して機密情報を保管するデータストアを設置する。データストアに保存した機密情報は、権限を持つユーザーだけが閲覧できる。
GMOインターネットは、2016年12月からZ.com Cloud ブロックチェーンのβ版を無料で提供してきた。オープンソースの開発や実証実験を経て、ここで得た知見をもとに正式版の提供に至った。開発したオープンソースは、6種類のプロダクトモデルとして無料で公開している。自由に改変でき、商用利用も可能である。
公開しているオープンソースは以下の通り。
- 「医療機関カルテ共有システム」(医療カルテの情報共有を可能にするシステム)
- 「トークントレーダー」(取引所構築システム)
- 「地域トークン」(地域ポイントの発行・運用ができるシステム)
- 「転売抑止チケット」(不正転売の抑止とチケットレス化を実現するシステム)
- 「KYC」(本人確認を簡単・スピーディーに行えるシステム)
- 「Pay@Table」(店員を呼ばずにテーブル会計ができるシステム)