日本ヒューレット・パッカードは2018年7月17日、ARMプロセッサを採用したHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)用途のサーバー機「HPE Apollo 70 System」を発表、同日販売を開始した。価格(税別)は、28コアプロセッサ×2、メモリー32Gバイトで、170万4800円から。
HPE Apollo 70 Systemは、ARMプロセッサを採用したHPC用途のサーバー機である。x86系プロセッサを採用した既存のサーバー機と比べて、メモリー帯域幅が最大で33%向上するとしている。このため、メインメモリー上にある大量データにアクセスするメモリー集約型のHPCアプリケーションに向く。
プロセッサとして、米Cavium Networksが開発したARMベースのCavium ThunderX2プロセッサ(64ビット)を搭載している。きょう体は2Uラックマウント型で、1台のきょう体に4ノード(4台のサーバー機)を収容する。ノード間接続のためのInfiniBand機能やEthernet機能を備える。OSは、Red Hat Enterprise LinuxやSUSE Linux Enterprise Server for ARMを利用できる。
HPE Apollo 70 Systemに合わせ、並列処理プログラムで利用するMPIライブラリ、水冷システム、システム管理ソフトなども提供する。MPIライブラリは、プロファイリングとランタイムの最適化により、既存のMPIアプリケーションの実行性能を再コンパイルすることなく向上させるとしている。
なお、HPE Apollo 70 Systemは、米Hewlett-Packard Enterprise(HPE)が米国エネルギー省(DOE)および米国エネルギー省サンディア国立研究所と共同で開発するスーパーコンピュータ「Astra」のベースとなっている。2プロセッサ構成のサーバーを2592台(14万5152コア)使い、理論ピーク性能は2.3PFLOPS(ペタフロップス)を超える。国家核安全保障局(NNSA)が、国家安全保障、エネルギー、科学といった分野のモデリングとシミュレーションに利用する。
HPEでは、これまでx86ベースの技術が主流となっていたHPC分野に、ARMなど新しいプロセッサを提供することで選択肢を広げているという。特に、データ集約型のHPCアプリケーションが増えていることを受け、メモリー帯域に注力したサーバーアーキテクチャの開発を進めているという。