高知県黒潮町は、津波に対する耐災害性を強化した新庁舎へと移転した。移転を支援した富士通エフサスと富士通エフサス四国カスタマサービスが2018年8月27日に発表した。
黒潮町は、2012年3月に発表された南海トラフ巨大地震における被害想定で、全国最大となる34.4メートルの津波到来の可能性があることが分かった。これを受けてこれまで、インターネット回線の冗長化や、災害発生時の初動に必要なアプリケーションのクラウド化など、様々な防災対策を推進してきた。
今回移転した新庁舎は、移転によってさらに耐災害性を強化した。具体的には、住民の安全な避難場所を確保すべく、高台に移転した。さらに、緊急時の防災拠点としての役割を強化した。
富士通エフサスと富士通エフサス四国カスタマサービスは、黒潮町の新庁舎建設に際し、企画・検討段階から、同町とともに「あるべき姿」のビジョン策定とその具現化を進め、ITシステムおよびワークプレイスの設計、移転計画の策定、プロジェクトの管理までを包括的にサポートしてきた。
黒潮町の新庁舎は、サーバールームの堅牢化や停電対策などにより業務継続性を向上し、災害対策を強化するとともに、電子決裁や文書管理システムの導入によって職員の業務効率化も図った。2018年度の第31回日経ニューオフィス賞においては「四国ニューオフィス奨励賞」を獲得した。
黒潮町の新庁舎の特徴は、以下の通り。
- 制震構造ラックを用いたサーバールームの構築により、業務継続性を向上
- 即座に災害対策本部体制に移行可能なフレキシブルなレイアウトを構築し、迅速な災害対策本部の立ち上げをサポート
- 防災対応部門の執務スペースには、災害時、迅速に情報収集を行うためのICTツールの導入と空間づくりを実施
- 96時間連続稼働可能な自家発電機を備え、自家発電機から電力供給ができる非常用電源コンセントを各所に整備したことで、停電時においても迅速な初動対応が可能に
- 複雑化していた配線配置を見直し、緊急時にもユーザー自身で障害箇所の特定と初動対応を実施できる、メンテナンス性に配慮した設計を採用