NTTデータと茨城県つくば市など6市町村は、紙の帳票をAI-OCR(光学文字認識)で電子化してRPA(ロボットによる業務自動化)ソフトと連携させる使い方を見据え、実際の帳票を用いてAI-OCRの読取率の検証を開始する。NTTデータが2018年12月5日に発表した。実証結果は2018年度末(2019年3月期)をめどに公開する。
NTTデータと茨城県つくば市は、RPAの活用に関する共同研究に取り組み、2018年5月に研究成果を報告した。このレポートでは、地方公共団体においてRPAの活用を促進する際の課題の1つとして「大量に保管している紙書類のデジタル化」を挙げている。
これを受けてNTTデータは、紙書類をデジタル化する策として、紙の各種帳票をAI-OCRで電子化してRPAソフトと連携させる地方公共団体向けサービスの提供を検討している。AI-OCRソフトとして「DX Suite」(AI inside製)を、RPAソフトとして「WinActor」(NTTアドバンステクノロジ製)を使う。いずれのソフトもNTTデータが販売している(関連記事:NTTデータ、手書き認識OCRソフト「DX Suite」を販売、RPAと組み合わせて提案)。
今回、AI-OCRシステムの実用性を検証することを目的に、2018年12月から2019年2月にかけて、RPAの導入を実施または検証中の6つの地方公共団体から実帳票を受領し、AI-OCRの読取率の検証を開始する。どの程度の精度で読み取れるかを確認して実用性を検証する。
対象の帳票については、各地方公共団体から、手書き/印字の別や定型/非定型を問わず、特定の業務に偏ることなく幅広い業務のものを受領し、さまざまなバリエーションについて実証する。「帳票数が多く業務量が多いもの」、「手入力後RPAによる自動処理を適用できそうなもの」などの観点についても考慮する。
実証に参加する地方公共団体は6つで、提供する帳票の種類は以下の通り(表1)。
市町村 | 主な帳票 |
---|---|
茨城県つくば市 | 給与支払報告書 |
出生届 | |
東京都町田市 | 介護保険認定申請書 |
国民健康保険療養費支給申請書 | |
横浜市 | 妊婦健康診査費用助成申請書 |
納入済通知書 | |
福岡市 | 就学援助の申請書 |
給与支払報告書 | |
福島県郡山市 | 保育の利用申込書 |
千葉県市川市 | 児童手当・特例給付認定請求書 |