IT市場調査会社のアイ・ティ・アール(ITR)は2019年3月12日、国内のIaaS/PaaS市場における規模の推移と予測を発表した。IaaSとPaaSを合算した市場の2017~2022年度における年平均成長率(CAGR)は23.0%となる。なかでもPaaSの成長は著しく、2022年度には2017年度の市場規模の4倍に拡大する。
ITRの調査によると、IaaS/PaaS市場における2017年度の売上実績は3575億5000万円で、2016年度と比べて34.1%増と高成長した。市場を構成するほとんどのベンダーは、売上が前年度と比べて2桁増えた。ベンダーの中でも、市場への影響力が大きい上位ベンダーが特に順調に売上げを伸ばした。
IaaSとPaaSを合算した市場の、2017~2022年度における年平均成長率(CAGR)は、23.0%となる。特にPaaSの成長は著しい。2022年度のPaaSの市場規模は、2017年度の市場規模の4倍にまで拡大する(表1)。
これらの背景としてITRは、ハイブリッドクラウド環境を志向する企業や、マルチクラウド環境を導入する企業が増えている状況を挙げている。
IaaS市場は今後も拡大する見通しで、各ベンダーがクラウドサービスを重点商材として販売していることに加えて、ユーザー企業がリソースを増強している。
成長著しいPaaSに対しては、ユーザーの期待も高まっている。ITRによると、クラウドの活用によって新規ビジネスを創出し、新たな市場を開拓しようとするユーザー企業が増えているという。PaaSを使えば、革新を推進するシステムを迅速かつ低リスクで構築できる、という期待がある。
ITRによると、PaaSは、ベンダーにとっても差別化を図りやすい市場で、提供サービスの種類や数、品質などで違いを出せる。このため、PaaSの販売を強化するベンダーが多いという。
ITRは、「クラウドをどのシステムに適用するかを考えていた時代は終わり、クラウドをどのように活用してビジネス成果を獲得するかを考える時代になった」としている。
今回の調査内容は、ITRが発行する市場調査レポート『ITR Market View:クラウド・コンピューティング市場2019』に詳細を掲載している。同レポートには、IaaS/PaaS市場およびDaaS(Desktop as a Service)市場の国内全32ベンダーへの調査をベースに、2016~2017年度売上実績と2022年度までの売上予測を掲載している。