東京海上日動火災保険とNTTコミュニケーションズ(NTT Com)は2019年4月23日、サイバーリスク保険とIT製品を組み合わせた包括的なサービスの提供で協業すると発表した。2019年6月の提供開始を目標に検討を進める。
東京海上日動火災保険は、これまでもサイバーセキュリティリスク対策の保険商品を開発し日本市場で展開してきた。保険販売を通じて顧客企業のリスク状況の把握やリスク軽減への取り組みが重要であるとの見解から、保険以外の製品・サービスを提供するための体制作りが課題だった。
NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は、ユーザーが抱えるサイバーセキュリティリスクに対して、ITインフラからアプリケーションにわたる範囲の製品・サービスを提供してきた。企業間のサプライチェーンの緊密化にともない、一企業だけでなく取引先である企業群の顧客企業への包括的な提供を加速させたいと考えていた。
協業では、サイバーセキュリティリスクを包括的に管理するサイバーリスク保険とIT製品・サービスを組み合わせる(図1)。
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具体的な取り組みは、以下のとおり。
- サプライチェーンに対するセキュリティ対策支援の提供
- サプライチェーンで関連する企業群のセキュリティ対策状況を、診断ツールにより評価し見える化するとともに、対策やノウハウを共有することで、対策期間や対策費用の低減、セキュリティレベルの底上げを支援する製品・サービスの提供を目指す
- ワンストップでのセキュリティ対策支援の提供
- 両社が持つ製品・サービスを融合させることで、企業のセキュリティ対策におけるセキュリティ診断から、ポリシー策定・セキュリティ対策、オペレーターや機器による検知・監視、インシデント発生時のサポートや本格対応、保険・再発防止対策にいたるまでの製品・サービスを一貫して提供することを目指す
- 新たなビジネス分野におけるセキュリティ対策支援の提供
- AI/IoTやコネクテッドカーなど、今後サイバーセキュリティリスクの拡大が予測される新たなビジネス分野にもセキュリティ対策の範囲を拡大し、顧客企業の取り組みやイノベーションを安全面から支援することを目指す
東京海上日動は、海外セキュリティ事業者の製品・サービスを活用したり、東京海上日動リスクコンサルティングを通じたセキュリティ事業体制の強化する。NTT Comは、最新のサイバーセキュリティに関するノウハウを継続的に蓄積して活用する。
将来的には、日本企業の海外進出拠点や、海外に広がるサプライチェーンの関連企業についても、グローバルベースでの支援を可能にするべく検討を進めていくとしている。