アイ・ティ・アール(ITR)は2019年8月22日、文書管理やファイル共有といった「コンテンツ・コラボレーション」分野の製品・サービスについて、市場規模の推移と予測を発表した。「働き方改革」の推進が市場を牽引し、2023年度には400億円規模に成長する。
ITRでは、文書ファイルなどをサーバーやクラウド上で共有して閲覧、編集、共同作業などを実現するECM(エンタープライズコンテンツ管理)や、オンラインファイル共有などの製品・サービスを、「コンテンツ・コラボレーション」と総称している。
コンテンツ・コラボレーション市場の2018年度の売上金額は、278億9000万円で、2017年度比12.7%増となった(図1)。市場を構成するほとんどのベンダーが売上げを伸ばした。
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パッケージとSaaSに分類した提供形態別に見ると、SaaSは2017年度比17.7%増、パッケージは2017年度比5.8%増となった。
製品分野別に見ると、ECM/文書管理は、全体としてはSaaSへの移行が進んでいる。「ただし、機密性の高い文書を大量に管理する必要がある一部の企業では、パッケージ製品を導入する傾向がある。SaaSで提供しているベンダー数は少ないが、ほぼ市場を独占しているトップベンダーが堅調に伸びている」(ITR)。
一方、オンラインファイル共有の大多数は、SaaSで提供している。「スマートデバイスからファイルを利用したり、取引先とファイルを交換したりなど、クラウド環境の利便性により、年々需要が増している。一部のサービスは、文書の版管理機能やワークフロー機能を備えるなど、ECM/文書管理の代替としての利用も増えつつある」(同社)。
2018~2023年度のCAGR(年平均成長率)は7.2%、2023年度には400億円規模に拡大するとITRは予測している。
今回の発表は、ITRが発行する市場調査レポート『ITR Market View:コラボレーション市場2019』に詳細を掲載している。同レポートには、コラボレーション・スイート市場、コンテンツ・コラボレーション市場(ECM/文書管理市場およびオンラインファイル共有市場)、Web会議市場およびファイルサーバー可視化市場の国内全38ベンダーへの調査に基づいた2017~2018年度売上げ実績および2023年度までの売上げ予測を掲載している。